肝臓


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肝臓

(かんぞう)

各種タンパク質の合成、胆汁の合成と分泌、解毒、糖質の分解と合成等を担う器官。

横隔膜に接して右上腹部に存在する。 重さは成人男性で1-1.2kg、女性で0.9-1kg。 右葉と左葉に分けられ、右葉の方が大きい。 肝臓の組織は肝小葉で構成される。 表面は腹膜に覆われており、これは横隔膜につながっている。

血管


肝臓のはたらき

(1).タンパク質の合成。

(2).胆汁の分泌

(3).解毒

(4).質(グリコーゲン)の貯蔵


アルコールの解毒

疾患

英数

(Aがたかんえん)

A型肝炎ウイルスによる。 急性は4類感染症に指定されている。

ヒトの排泄物から伝染して急性肝炎を起こすが慢性に移行することはない。 劇症肝炎にならないかぎり自然治癒する。 不衛生な環境で多く発症する。 高齢者は重症化することが多い。

日本では成人の肝炎例が多い。 カキはHAVを濃縮するため、生ガキを食べるとリスクが高くなる。

A型肝炎ワクチンが有効。

(Bがたかんえん)

B型肝炎ウイルスによる。 HBs、HBc、HBeの3抗原がある。 5類感染症に指定。

感染者の肝細胞、血液、体液に含まれる。 母子感染、性行為、輸血、針刺し事故等により感染する。 現在は血液製剤のHBVの有無を検査しているため輸血による感染はない。

1-6ヶ月の潜伏期間を経て肝炎症状が出る。 急性の慢性化はまれで劇症以外は2-4ヶ月でほとんど完治する。

完治すると血液中に抗体ができるが、母子感染や乳幼児の感染では抗体ができずキャリア化する。 キャリアはやがて慢性肝炎を発症し、肝硬変、肝細胞がんを合併する。

D型肝炎との重複感染も見られる。

(Cがたかんえん)

C型肝炎ウイルスによる。 5類感染症に指定されている。

輸血、血液製剤による感染が多かったが、現在は輸血による感染はない。

1-3ヶ月の潜伏期間を経て発症する。 50-80%は慢性C型肝炎に移行する。 10-20年経つと肝硬変や肝細胞がんの原因になる。

感染すると抗体ができるが抗体はウイルス排除ができない。

(Dがたかんえん)

D型肝炎ウイルスによる。 ウイルスはB型肝炎ウイルスをヘルパーとしないと増殖できない。 このためB型肝炎との重複感染が多い。

3-20週間の潜伏期間を経て急激に発症、重症化しやすい。

(Eがたかんえん)

E型肝炎ウイルスによる。 4類感染症に指定されている。

1-2ヶ月の潜伏期間を経て発症する。 1ヶ月程度で治癒し、慢性化はしない。 A型肝炎に似ているが、A型より劇症肝炎が発生しやすい。

(いとうさいぼう)

肝臓に存在する細胞。脂肪滴の中にビタミンAを貯蔵する。 名前の由来はこの細胞を発見した群馬大学の伊東俊夫教授による。

肝油ドロップはの肝臓の伊東細胞から成分を抽出している。 肝硬変の際に発生する線維は伊東細胞が産生する。

(おうだん)

ビリルビン血症により皮膚等が黄色くなる状態。 新生児は肝臓機能が未発達のため、生後一週間ほどは生理的な黄疸となる。

(かんえん)

肝炎ウイルスの感染により起こる感染症。 主なものはA,B,C型。

ウイルス感染症の分類
A型肝炎HAV4類感染症(急性のみ)
B型肝炎HBV5類感染症
C型肝炎HCV5類感染症
D型肝炎HDV-
E型肝炎HEV4類感染症

(かんしょうよう)

肝臓を構成する組織のこと。

1つの肝小葉には約50万個の肝細胞が存在する。

(かんこうへん)

肝臓の結合組織が増殖して硬くなる病態。

ラエネク肝硬変、胆路性肝炎に分かれる。 ラエネク肝硬変はウイルス性肝炎アルコール中毒、薬物などが原因で、 胆路性肝炎は胆汁の鬱滞により発生する。 肝細胞の壊死と増殖が繰り返されることにより結合組織が増え、その結果硬くなる。

(かんせいのうしょう)

肝不全による症。 血中にたまった尿素アンモニアが肝臓で処理されず脳に到達するために起こる。 せん妄、昏睡等の精神神経症状を起こす。

(かんのうよう)

肝臓に形成される単発性または多発性の膿瘍。 胆管を介したものが多い。

(くっぱーさいぼう)

肝小葉の類洞壁に付着している細胞。 貪食作用があり類洞に入ってきた異物を食べて処理する。

(ぐりそんしょう)

小葉間静脈、小葉間動脈、小葉間胆管、末梢神経等を束ねる結合織のこと。 肝小葉を区画する。

肝小葉との境界は限界板と呼ばれる。

(しぼうかん)

肝細胞の中に大量の中性脂肪が沈着した状態。肥満と密接に関連する。 主に栄養の過剰摂取により起こるが、飢餓状態、アルコール中毒でも発生する。

通常肝機能に異常はない。超音波検査で判別できる。

(たんかん)

胆汁十二指腸内に至るまでの管。

経路

(たんじゅう)

肝細胞で合成、分泌される液体。主な成分は胆汁酸

(たんじゅうさん)

胆汁の主な成分。コレステロールからつくられる。 抱合後の方が脂質の消化吸収に有利。

(たんせき)

胆道に生じる結石。胆汁が固まってできる。 脂肪分の多い食事をしていると胆石ができやすい。

胆嚢結石
胆石の中で最も多い。無症状の場合もあるが、胆嚢炎を起こすことがある。

胆管結石
胆管に結石ができる。 症状を起こすことが多く、胆管炎を発症することもある。

胆嚢結石の場合は胆嚢摘出術、胆管結石では内視鏡治療で除去されることが多い。

戦後の食事の欧米化により胆石をもつ人が大幅に増加した。

(たんのう)

十二指腸に食物がないときに胆汁を一旦貯蔵する嚢状の器官。 肝臓下面に存在し、胆嚢管により総胆管と連絡する。

(たんのうえん)

胆嚢に生じる炎症。多くは胆石を伴う。中年女性に多い。

急性
胆石により閉塞が起こり、強い腹痛に襲われる。

慢性
慢性的に粘膜が刺激されることにより起こる。

(にょうそかいろ)

オルニチン回路とも。 アミノ酸窒素尿素に変換する代謝経路。 肝臓でみられる。

アミノ酸をエネルギーとして使用した場合、脱アミノ化により生じたアミノ基から アンモニアが生成される。 このアンモニアは尿素回路で尿素に変換され、尿として排出される。

(びりるびん)

胆汁色素。黄色の色素。 老廃赤血球のヘモグロビンに含まれるヘムの最終代謝産物。 血中のビリルビンが上昇した状態を黄疸と呼ぶ。

肝臓、脾臓のマクロファージが赤血球を壊す。 に溶けにくいため、アルブミンと結合したかたちで肝細胞に運ばれる。 肝細胞でグルクロン酸抱合により水溶性を高めて胆汁中に排泄する。

腸管に排泄されたビリルビンは無色のウロビリノゲンに分解される。 更に褐色のウロビリン、ステルコビリンに変換される。 ウロビリノゲンの一部は腸管から再吸収され肝臓に戻り再び胆汁中に排泄される。 ウロビリノゲンの一部は尿から排泄される。

(るいどう)

肝臓にみられる毛細血管。


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