5類感染症


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5類感染症

(5るいかんせんしょう)

インフルエンザ(鳥インフルエンザ、新型インフルエンザ等感染症は除く)
ウイルス性肝炎(A型及びE型を除く)
クリプトスポリジウム症クリプトスポリジウム原虫
後天性免疫不全症候群(HIV)
麻疹(はしか)(成人麻疹を除く)麻疹ウイルス
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症

以下は施行規則による指定。

アメーバ赤痢 赤痢アメーバ原虫
急性脳炎(ウエストナイル熱、日本脳炎等を除く)
劇症型溶血性レンサ球菌感染症
ジアルジア症 ランブル鞭毛虫(原虫)
先天性風疹症候群
破傷風 破傷風菌
バンコマイシン耐性腸球菌感染症
バンコマイシン耐性黄色ブドウ球菌感染症
クロイツフェルト・ヤコブ病 プリオン

RSウイルス感染症RSウイルス
咽頭結膜熱 アデノウイルス
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎
感染性胃腸炎ノロウイルス感染症等を含む
水痘 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)
手足口病 コクサッキーウイルス
伝染性紅斑 ヒトパルボウイルスB19
突発性発疹 ヒトヘルペスウイルス6型(HHV-6)
百日咳 百日咳菌
風疹 風疹ウイルス
ヘルパンギーナコクサッキーウイルス(A群)
流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)ムンプスウイルス

性器ヘルペス感染症
尖圭コンジローム
淋病
性器クラジミア感染症
梅毒 梅毒トレポネーマ

クラミジア肺炎(オウム病を除く)
細菌性髄膜炎
マイコプラズマ肺炎肺炎マイコプラズマ
成人麻疹
無菌性髄膜炎
ペニシリン耐性肺炎球菌感染症
薬剤耐性緑膿菌感染症

2013年追加

侵襲性インフルエンザ菌感染症
侵襲性肺炎球菌感染症
侵襲性髄膜炎菌感染症(旧髄膜炎菌性髄膜炎)
感染性胃腸炎(病原体がロタウイルスであるものに限る。)

2014年追加

カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症
水痘(入院例に限る)
播種性クリプトコックス症
薬剤耐性アシネトバクター感染症

2018年追加

急性弛緩性麻痺(急性灰白髄炎を除く。)

英数

(Aぐんようけつせいれんさきゅうきんいんとうえん)

A群レンサ球菌による上気道感染症。5類感染症。 学童期の小児に多い。

症状は38度以上の熱、咽頭発赤、苺舌等。

まれに重症化し、猩紅熱に移行する場合がある。

ワクチンはない。

Human immunodeficiency virus. ヒト免疫不全ウイルスのこと。エイズを参照。 ウイルスはヘルパーT細胞(マクロファージ)に感染する。

逆転写酵素をもつ。通常遺伝子情報はDNAからRNAに転写されるが この酵素をもつウイルスではRNAからDNAに転写される。 レトロウイルスが保有する。

(RSういるす)

RSウイルス感染症を起こすウイルス。 乳幼児に重症の下気道感染を、年長者に軽度の上気道感染を起こす。 患者は通年みられ、特に冬に多い。

2歳までにほぼ100%の人がRSウイルスに感染するとされる。

劇症型溶血性レンサ球菌感染症を参照。

(あめーばせきり)

原虫の一種である赤痢アメーバによる。 消化器以外の臓器にも病変を示す。 1999年には4類感染症に指定、2001年より5類感染症に変更。

発展途上国で感染が多い。 日本では2001年に400人以上の患者が発生している。

治療にはメトロニダゾール、チニダゾールが使われる。

(いんとうけつまくねつ)

5類感染症。 プール熱とも。 アデノウィルスによる小児の急性ウイルス性感染症。 夏季、冬季に流行する。

接触感染。

潜伏期は5-7日。 発熱で発症、咽頭炎、結膜炎等が起きる。

(えいず)

後天性免疫不全症候群。 AIDS. ヒト免疫不全ウイルス(HIV、エイズウイルス)により起こる感染症。 日和見感染を生じた状態でエイズと診断される。HIV感染症は発症前を含めた病態。

感染するとHIVが血液中に陽性となる。 2-4週間後に感染者の20-50%にインフルエンザの様な症状が出る。無症状の場合もある。 その後はHIVの増殖がおさえられるがウイルスは完全に排除されない。

発症まで数年-10年かかる。 HIV増殖によりCD4陽性T細胞が減少し、免疫不全を発症する。

血液、体液を介して感染する。分娩時産道感染、搾乳感染も発生している。

治療には抗ウイルス薬(抗HIV薬)が用いられる。

(おたふくかぜ)

流行性耳下腺炎。ムンプスウイルスによる。 飛沫感染で、ヒトからヒトへ感染する。患者は1-4歳が多い。

片側または両側の下腺(唾液腺)が腫れて疼痛が起こる。 他の唾液腺が腫れたり、身体の他の部位の炎症が起こることもある。 高い割合で髄膜炎、炎の合併症を併発する。

ムンプス難聴を起こすこともある。

ムンプスワクチンが有効だが、任意接種となっている。 学校保健法により耳下腺の腫張が消失するまで出席停止となる。

(かるばぺねむたいせいちょうないさいきんかさいきんかんせんしょう)

CRE。 カルバペネム系薬剤、広域β-ラクタム剤に耐性をもつ腸内細菌の感染症。 2014年に5類感染症に指定。

カルバペネマーゼを産生し、カルバペネムに耐性を示す。

免疫機能の低下した者に感染症を起こす。

細菌は多くの種類がある。

(くりぷとすぽりじうむしょう)

家畜の腸管寄生原虫として知られていた。 1980年代からエイズの致死性下痢症の病原体として注目された。 健常者でも下痢の原因となる。

通常はオーシストと呼ばれる状態で増殖はしない。 動物内に入ると細胞に寄生して増殖しオーシストを形成する。

1980年代から国外で飲料水の汚染による集団感染が発生した。 日本でも平塚市の雑居ビル(1994)、埼玉県越生町の町営水道(1996)で集団感染した。

3-10日の潜伏期間を経て発症する。主な症状は下痢。 2-3週間で自然治癒する。

通常の浄水処理では完全に除去できず、塩素消毒にも抵抗性がある。

(げきしょうがたようけつせいれんさきゅうきんかんせんしょう)

A型溶血性レンサ球菌が病原体。

日本での患者は年間100-200人、うち約30%が死亡している。

30歳以上の大人の感染が多い。

日本での最初の報告は1992年。

初期症状は四肢の疼痛、発熱、血圧低下。 発病後数10時間以内に軟部組織壊死、急性腎不全、成人型呼吸窮迫症候群(ARDS)、 播種性血管内凝固症候群(DIC)、多臓器不全(MOF)を引き起こし、死亡する事も多い。

治療はペニシリン系抗菌薬。

(こうてんせいめんえきふぜんしょうこうぐん)

エイズを参照。

(さいきんせいずいまくえん)

細菌感染による髄膜炎の総称。化膿性髄膜炎とも呼ばれる。 結核性髄膜炎は含まない。 小児と高齢者に多い。

菌はB型レンサ球菌、大腸菌、黄色ブドウ球菌、リステリア菌、 インフルエンザ菌(ほとんどがHib)、肺炎球菌、髄膜炎菌等。

発熱、頭痛、嘔吐等が発生、進行すると意識障害、痙攣等が発生する。 致死率が高く、救命できても重篤な後遺症を残すことがある。

(じあるじあしょう)

ランブル鞭毛虫(Giardia intestinalis)による下痢性疾患。 5類感染症。

糞便中に排出された嚢子を経口摂取することで感染する。 食品、水道のほか、性的接触でも感染する。

主な症状は下痢。1-2週間で自然治癒するが、一部は慢性化する

治療はメトロニダゾール等の投与。

日本での発生は年間70件前後。

(すいとう)

水ぼうそう。 水痘・帯状疱疹ウイルス(VZV)により起こる熱性発疹性疾患。 飛沫感染。潜伏期は約2週間。

小児に発熱、発疹を起こすが予後は良好。 成人、免疫不全者が感染すると重症化することがある。

水痘ワクチン(生ワクチン)が有効。

(てあしくちびょう)

子供を中心に夏に流行する。 口の中、手足等に水疱性の発疹が出る。

ほとんどは数日で治るが、まれに 無菌性髄膜炎等の重篤な症状が出ることがある。

大人も感染する。大人の場合は子供より症状が重くなりやすい。

原因となるウイルスはコクサッキーウイルスA6、A16、エンテロウイルス71等。 ワクチンは存在しない。

(のろういるす)

12-48時間の潜伏期を経て急性胃腸炎を起こす。 1-3日で回復するが、その後3-7日は糞便中にウイルスを排出する。 カキの生食が原因となる。薬やワクチンはない。

名前の由来はウイルスが発見されたアメリカオハイオ州のノーウォークによる。 その後も近縁のウイルスが発見され、ノーウォーク様ウイルスと呼んだ。

広義と狭義で混乱を招くおそれをなくすため、 2002年に本来のノーウォークウイルスをノロウイルスと呼ぶように決められた。

2018年現在「ノロウイルス」という呼び名はウイルス属名を示している。 属するのは1種、ノーウォークウイルス(Norwalk virus)のみ。

牡蠣等のは大量の海水をとりこんでエサをとるが、 この際に下水由来のノロウイルスを濃縮することがあり、感染症の原因となる。

ヒトに感染するノロウイルスは2018年現在まだ培養に成功していない。

(はしか)

麻疹を参照。

(はしょうふう)

壌に常在する破傷風菌が傷口に感染して発症する。

破傷風菌は偏性嫌気性で芽胞をつくるグラム陽性桿菌。外毒素(テタノスパスミン)を分泌する。 の増殖には嫌気的条件が必要、傷が深いとひきおこしやすい。

3-21日の潜伏期間を経て局所で発症、のちに全身に広がる。

症状が進行すると意識が保たれたまま全身性けいれん発作が起こる。 へその緒が不適切に処理されるとなりやすく、現在でも新生児の死亡が多い。

1950年には1558人が死亡した。 破傷風トキソイドワクチン(1952)、DPTワクチン(1968)の導入により減少、 1991年以降の患者数は年間30-50人。致死率はいまだに高く20-50%。 2000年の患者数は92人。

不活化した破傷風毒素(トキソイド)ワクチンを予防接種することにより予防可能。 成人はワクチンを接種する機会が少ないため発症しやすい。

治療はTIG抗菌薬によりおこなう。

(ひゃくにちぜき)

百日咳菌による気道感染症。 けいれん性の咳発作が特長。小児に多く重症化しやすい。

伝染力が非常に強い。 飛沫により侵入、毒素により気管支に炎症を起こす。

5-14日の潜伏期間を経て発症、カタル期が1-2週続き、 痙咳期が1-6週続く。7-8週で治癒する。

小児は気管支肺炎を起こし重篤になることがある。

治療は抗菌薬(エリスロマイシン)を用いる。 DPTワクチン(3種混合)が有効。

1999年から定点把握疾患に分類された。 2014年からの値は0.66-0.95。

2018/1からは全数把握疾患となった。

(ふうしん)

三日はしか。風疹ウイルスによる。

2-3週間の潜伏期間を経て発疹、発熱する。 症状の幅が広く臨床はやや困難。約3日で治り、予後もよい。 ただし妊婦が妊娠初期にかかると胎児に感染して先天異常を起こす。

定期接種開始からは落ち着いていたが2004年に流行し、約4万人の患者が出た。 従来は小児科定点だったが2008年より全数把握疾患に変更された。

2011年にアジアで大流行し、その後は成人の患者が増加傾向にある。 現在の報告患者の9割は成人。

麻疹風疹ワクチンで予防。

(ぷーるねつ)

咽頭結膜熱を参照。

(へるぱんぎーな)

コクサッキーウイルスA群による。 乳幼児に起こり、発熱、かぜ様症状となる。 口腔、咽頭に水疱、潰瘍を生じる。

(ましん)

はしかとも。感染力、発症力共に高い。 麻疹ウイルスによる。

10-14日の潜伏期を経て発症、2-3日後に高熱が出て、口腔粘膜に白色斑(コブリック斑)ができる。 その後一旦解熱するものの再び発熱し、全身に発疹を生じる。

肺炎、中耳炎を合併しやすい。 重症化すると脳炎を起こす。

妊娠中に感染すると流産、早産、死産の確率が高くなる。

特効薬はなく、解熱剤や咳どめを使い回復を待つ。

感染すると生涯免疫ができる。 ワクチンが有効。風疹ワクチンを混合したMRワクチンが使われる。 ただしワクチンでは年数の経過とともに免疫が低下する。

(みずぼうそう)

水痘を参照。

(むんぷす)

おたふくかぜを参照。

(めちしりんたいせいおうしょくぶどうきゅうきんかんせんしょう)

メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA、methicillin‐resistant Staphylococcus aureus)による感染症。

病原性は一般の黄色ブドウ球菌と同じで健康な者には存在していても害はない。 抵抗力の弱い者に感染すると、抗菌薬が効かないため重症化しやすい。 腸炎、肺炎、敗血症等を起こす。

(りゅうこうせいじかせんえん)

おたふくかぜを参照。

(ろたういるす)

レオウイルス科のRNAウイルス。大きさは直径100nm。

感染力が高く、わずかな数のウイルスが体内に入るだけで感染する。 通常は5歳までに全ての子供が感染するとされる。

オトナの場合は感染しても症状はほとんど出ないが、 子供は胃腸炎の原因となる。


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