消化器 > 腸
胃からつながる管状の器官。 食物からの栄養、水分吸収をおこなう。 処理後の食物は便として肛門を通じて排出する。
腸神経系があり、免疫機構が発達している。 脳とは独立して動くため、第二の脳とも呼ばれる。 10兆を超える腸内細菌が存在する。
腸の疾患
腸閉塞のこと。 機械的イレウス、機能的イレウスがある。
空腸を参照。
大腸の粘膜にびらん、潰瘍ができる炎症性疾患。 下血、下痢、腹痛が起こる。 病変は直腸から広がる性質がある。
原因は不明だが遺伝的因子の関与があると考えられている。
虫垂の内膜閉塞による細菌感染が原因で起こる。 若い人に多く急激な腹痛を発症する。 虫垂切除により治療される。 虫垂切除術が確立されるまでは致死率60%を超える病気だった。
小腸の一部位。 トライツ靭帯から右下腹部の開盲弁に至るまでの部位。 十二指腸、大腸とつながる。
解剖の際に中身が入っていないことが多いので空腸と呼ばれる。 回腸を含めた長さは5-6mで上部約2/5が空腸、残りが回腸となる。境界ははっきりしない。
組織は十二指腸に似ているが分泌腺は存在しない。 粘膜には絨毛が豊富に存在し、吸収上皮細胞で覆われている。 基底顆粒細胞も存在する。
蠕動運動により食物をこなす。 膵液、腸液により大半の栄養素の分解と吸収を行う。
各栄養素は下記の物質に分解され主に十二指腸と回腸で吸収される。
吸収された栄養素は腸間膜静脈、門脈を経て肝臓に運ばれる。 水、消化液は小腸で85%、大腸で15%が吸収される。
腸管に潰瘍を形成する原因不明の慢性炎症性疾患。 回腸末端から盲腸を含む大腸がおかされやすい。
消化管の壁の弱いところが内圧により外側にくぼんでふくらんだ部位のこと。
大腸憩室炎の原因となる。
大腸の一部位。 右下腹部の回盲弁部から直腸に至るまでの部位。
小腸の一部位で胃と接続する。 長さは20-30cm。位置は右下腹部。 握りこぶし三つ(指12本分)分の長さがあるためこの名がある。 トランツ靭帯の部分で空腸になる。
小十二指腸乳頭には膵臓からの副膵管がつながる。 大十二指腸乳頭(ファーター乳頭)には 肝臓からの総胆管と膵臓からの膵管が開口しており、胆汁や膵液が分泌される。 また十二指腸自体も分泌腺を持つ。
小腸のうち十二指腸だけは腸間膜を持たず、腹膜の後腹壁部にじかに付着しており、運動性を欠く。
内腔には輪状ヒダと呼ばれる隆起構造が多数ある。 ヒダの表面は無数の絨毛で覆われている。 絨毛は食物の移動をおこなうほか、面積を大きくて消化吸収に役立てている。
ブルンネル腺(十二指腸腺)と内分泌細胞を持つ。 ブルンネル腺は炭酸水素イオン(HCO3-)と粘液を分泌し、胃で酸性になった食物を中和する。 内分泌細胞は腸内容物があるときに消化管ホルモンを血中に分泌する。
糖質と一部のアミノ酸が吸収される。
腸腺が分布しており腸液を分泌する。
虫様突起。 盲腸左後壁から出ている器官。 盲腸内に虫垂口が開口する。
盲腸の側壁に付着している突起。 リンパ球の集まる部位があり、免疫グロブリンIgAを産生している。
かつては無用の部位とされた。 虫垂がなくなると腸内細菌叢のバランスが崩れることが近年わかった。
杯細胞等から分泌される体液で消化酵素を多く含む。 pHは7.0〜8.5で弱アルカリ性、成人では1日3L分泌される。
十二指腸腺
粘液、炭酸水素ナトリウムを多く含む。
腸腺
多くの消化酵素を含む。
酵素 | 対象 |
マルターゼ | マルトース |
スクラーゼ | スクロース |
ラクターゼ | ラクトース |
ペプチダーゼ | ペプチド |
リパーゼ | 脂肪 |
空腸と回腸を包むヒダ状の膜組織。 これらを後腹壁につなぎとめ、立位での下垂を防ぐ。
イレウス。 肛門側への内容物の通過障害により起こる病態。 腹痛、膨満、嘔吐、排便の停止等が起こる。
S状結腸から肛門に至るまでの部位。 内容物はS字結腸と同じく便。 長さは約20cm。 腸間膜をもたずじかに骨盤腔に固定されている。
通常は空だが上部から便が進入してくると貯蔵器官としてはたらく。 便が増えると便意を感じ、収縮を始める。
前方には男性では膀胱、精嚢、前立腺がある。 女性では膀胱、子宮、膣がある。 これらの器官は直腸内から触診できる。
直腸下半は内腔が広がり直腸膨大部と呼ばれる。
上中下に三つのヒダ(直腸横ヒダ)がある。 上と下は左側、中は右側に位置する。 中はコールラウシュヒダとも呼ばれ、ここから上が上部直腸、下が下部直腸となる。
腸内に棲息する細菌。数は10兆を超える。種類は約1000種類。 腸内フローラとも呼ばれる。
善玉菌はオリゴ糖、水溶性食物繊維を栄養とする。 海草、大麦、果物等に多く含まれる。
悪玉菌はタンパク質を栄養とする。
小腸の回腸を中心に120-130個存在する組織。 病原菌等の抗原の取り込み口。 抗原提示細胞、T細胞、B細胞があり、免疫機構をもつ。
回盲部のすぐ下に存在する。 細長い虫垂が突出している。
急性虫垂炎のことを盲腸と呼ぶ場合があるが誤り。