4類感染症


index skip allword source recent(rd) (no rd)
dicfile-mtime:2023/12/16(Sat) 19:30:48
dicfile-size:12019byte


感染症 > 4類感染症

4類感染症

(4るいかんせんしょう)

ウエストナイル熱ウエストナイルウイルス
エキノコックス症単包条虫、多包条虫
黄熱 黄熱ウイルス
オウム病 オウム病クラミドフィラ(クラミジア)
回帰熱 回帰熱ボレリア(菌)
Q熱 コクシエラバーネティー(リケッチア)
狂犬病 狂犬病ウイルス
コクシジオイデス症コクシジオイデス・イミテス(輸入真菌)
腎症候性出血熱ハンタウイルス
炭疽 炭疽菌
ツツガムシ病ツツガムシ病リケッチア
デング熱 デングウイルス
日本紅斑熱 日本紅斑熱リケッチア
日本脳炎 日本脳炎ウイルス
ハンタウイルス肺症候群ハンタウイルス(シンノンブルウイルス)
Bウイルス病
ブルセラ症 ブルセラ・メリテンシス(菌)
発疹チフス 発疹チフスリケッチア
マラリア マラリア原虫
ライム病 ライム病ボレリア
レジオネラ症レジオネラ・ニューモフィラ(菌)
A型肝炎 A型肝炎ウイルス
E型肝炎 E型肝炎ウイルス
トリインフルエンザ(H5N1以外)
サル痘(エムポックス) サル痘ウイルス
ニパウイルス感染症ニパウイルス
野兎病 野兎病菌
リッサウイルス感染症
レプトスピラ症 レプトスピラ(細菌)
ボツリヌス症 ボツリヌス菌
オムスク出血熱
キャサヌル森林病
西部ウマ脳炎
ダニ媒介脳炎
東部ウマ脳炎
鼻疽
ベネズエラウマ脳炎
ヘンドラウイルス感染症
リフトバレー熱
類鼻疽
ロッキー山紅斑熱
チクングニア熱 (H23/2追加)
SFTS SFTSウイルス (H25/3追加)
ジカウイルス病 ジカウイルス 2016追加
先天性ジカウイルス感染症ジカウイルス 2016追加

英数

(Qねつ)

リケッチアの一種Coxiella burnetiiによる感染症。 QはQuery fever(不明熱)に由来する。 ヒツジ、ウシ、ヤギ等感染動物の排泄物や乳経由で感染、 2-3週間の潜伏期を経て発症する。 感染しても半数は症状が出ない。

急性はインフルエンザ様の症状がでて、多くは14日以内に解熱する。 1割は慢性に移行するとされる。慢性は心臓に影響を及ぼす。

治療にはテトラサイクリン系の抗菌薬やクロラムフェニコールが使われる。

重症熱性血小板減少症候群。4類感染症。 SFTSウイルスによる。マダニが媒介する。

潜伏期は6-14日。発熱、嘔吐等の症状が出る。 2019年は10月時点で3名が死亡している。

(あるふぁういるす)

トガウイルス科アルファウイルス属のウイルス。 熱帯、亜熱帯を中心に分布。 蚊が媒介する。

(うえすとないるねつ)

ウエストナイルウイルスによる感染症。 日本脳炎ウイルスには近い関係にある。

約80%は感染しても症状が出ない。 インフルエンザに似た症状を示し、悪化すると脳炎、髄膜炎になる。 日本では2005年に1名感染報告がある。

ウイルスはトリと蚊の間で感染サイクルが維持され、 蚊を介してヒトに感染する。

治療は対症療法となる。

(えきのこっくすしょう)

包虫症。単包条虫、多包条虫の幼虫による感染症。 日本では多包条虫によるものが多い。

感染すると肝臓に嚢胞を多数つくる。 キタキツネとイヌが終宿主。 かつて礼文島で流行したが飼い犬を全て殺して撲滅している。

北海道全域で流行している。 ヒトが感染すると10年後に肝臓が腫れる。 手術で切除する。

(えむぽっくす)

サル痘とも。 サル痘ウイルスによる感染症。4類感染症。

流行地域はアフリカ中央部、西部。

2022年からヨーロッパ、アメリカでみられるようになった。

日本では2022/7に初めて感染確認、2023年末まで200人以上が感染している。

(おうねつういるす)

黄熱ウイルスによる感染症。蚊を媒介とする。 4類感染症

潜伏期間は3-6日。悪寒、発熱などで発症。 症状は数日で一時収まるが、その後ぶりかえす。重症時の死亡率は10-20%。

黄熱ワクチン(弱毒生ワクチン)で予防。

(かいきねつ)

スピロヘータ(回帰熱ボレリア)による感染症。 ネズミ、鳥類が保菌し、ダニ、シラミにより媒介される。

菌血症による発熱期、菌血症を起こしていない無熱期を3-5回程度繰り返す。 感染後5-10日で発熱期となり、発熱、悪寒が発生する。 無熱期は血中に菌は検出されない。

2013年に北海道でマダニの媒介により患者が発生している。

治療にはテトラサイクリン系の抗菌薬を用いる。

(きょうけんびょう)

狂犬病ウイルスによる。 狂犬にかまれた後、平均30〜90日の潜伏期間を経て発症する。 全身倦怠感、食欲不振、頭痛、精神不安で発症する。 発症すると死亡率は100%。

日本では1958年以降発生していないが一部の国を除き世界で流行している。 野生動物が感染源になっている場合もある。

(こくしじおいですしょう)

アメリカ南西部、メキシコアルゼンチンベネズエラの半乾燥地域の風土病。 これらの地帯の土壌に生息する真菌コクシジオイデス・イミチス (Coccidioides immitis)を吸入して起こる。

取り扱い上最も危険な真菌とされ、病原性はペストに相当するとされる。

菌の取り扱いには注意が必要で検査技師、研究者は二次感染の危険が高い。

播種性は肺の初感染病巣が血液を通して全身に広がるもの。 発症すると半数が死亡する。 治療は困難。

(さるとう)

オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルスによる疾患。 日本では4類感染症に指定。

1970年にザイールで初報告。 アフリカ中央部から西部で多くみられる。

2022/5よりイギリス、ヨーロッパ、アメリカの患者が相次いでいる。

症状は発熱と発疹。多くは2-4週間で回復。 重症化、死亡例も見られる。

コンゴの方が重症化しやすく、感染力も高い。

(じかういるす)

フラビウイルスに属する。 ヤブカ属の蚊が媒介する。 流行地域は中南米、インド、東南アジア、アフリカ。

ジカウイルス感染症(ジカ熱)
4類感染症に分類される。2016/2に指定。

血液、体液に含まれることもあり、性交渉でも感染する。 妊婦の場合は胎盤経由で胎児に感染することもある。

感染すると発疹、関節痛、結膜炎等が発生する。症状がないこともある。 妊婦が感染すると胎児に先天性小頭症をきたすことがある。

成人の場合、感染数週間後にギラン・バレー症候群を発症することがある。

(だにばいかいかんせんしょう)

ダニが感染する感染症。

(だにばいかいのうえん)

マダニにより媒介されるフラビウイルス感染症。 宿主はげっ歯類。

7-14日の潜伏期を経てインフルエンザ様症状が起こる。 そのうち一部は髄膜炎、炎に進展する。

中部ヨーロッパ脳炎、ロシア春夏脳炎に分かれる。 日本では北海道で発生が報告されている。

(たんそ)

感染症の一つ。炭疽菌(バチルス・アンシラシス)による。

皮膚、呼吸器、消化器に傷害を引き起こす。 治療が遅れると致死率が90%を超える。 皮膚の病変部は毒素により壊死し黒くなるため、この名がある。

人畜共通感染症で動物にも感染する。

炭疽菌は酸素と接触すると芽胞を形成し、熱、消毒に強い抵抗性を示す。 土の中で長期間生存し、動物に感染する。

世界には炭疽ベルトと呼ばれる炭疽菌汚染地帯がある。

2001年にはアメリカで炭疽菌芽胞による生物テロが発生した。

(つつがむしびょう)

ダニの一種ツツガムシが媒介するリケッチアによる感染症。 北海道、沖縄を除く全国でみられる。 草むら等で幼虫に吸着され感染する。

5-14日の潜伏期を経て39度以上の高熱が出る。 皮膚には刺し口がみられ、数日後に発疹があらわれる。 倦怠感、頭痛を伴う。治療が遅れると播種性血管内凝固を起こすことがある。

治療はテトラサイクリン系の抗菌薬を用いる。 βラクタム系は無効。

(でんぐねつ)

デングウイルスによる。 都市部ではネッタイシマカ、森林部ではヒトスジシマカが媒介。

4-7日の潜伏期間後に発熱する。 発症3-4日後に発疹が出現し、1週間程度で消失する。

デング出血熱は出血、血便をきたし、血漿漏出による胸水、腹水があらわれる。 進むとショックに陥る(デングショック症候群)。

(にぱういるす)

ニパウイルスによる感染症。 1999年にマレーシアで初めて発生。 名前の由来はウイルスが分離された患者の村と川の名前による。

コウモリ、ブタ等の尿や唾液を介して感染、発熱、頭痛、めまい、嘔吐等を示し、 その後急性脳炎症状があらわれる。 致死率は40-75%と高い。

(にほんこうはんねつ)

日本紅斑熱リケッチア(リケッチア・ジャポニカ)による感染症。 媒介はマダニによる。 1984年に初めて報告。

西日本の太平洋側で多い。

潜伏期間は2日から1週間。高熱と特徴的な発疹が出る。 発疹は四肢末端、顔面に多い。

治療が遅れると重症化し、死亡することもある。

(にほんのうえんういるす)

日本脳炎を起こすウイルス。夏型脳炎。 ブタと蚊の間のサイクルで維持される。 コガタアカイエカが媒介する。 1924年に流行した。

1-2週間の潜伏期間を経て発症、数日後に発熱、頭痛、意識障害を起こす。 感染者の300-1000人に1人が脳炎を発症、その4人に1人が死亡し、半数は精神神経に後遺症を残す。

日本脳炎ワクチンが有効。 3-15歳までに5回予防接種が実施されている。

(はっしんちふす)

発疹チフスリケッチアによる伝染病。シラミを媒介とする。 日本では1957年から届出はない。

(はんたういるす)

ブニヤウイルス科。ネズミが媒介し、 ハンタウイルス肺症候群(HPS)を起こす。 南北アメリカで多くみられる。

日本では1984年の実験室感染以来感染者は出ていないが、 ウイルス自体はドブネズミが保有している。

初期は咳、38-40度の発熱が出る。その後症状は急速に進んで呼吸困難に陥る。

(ぼつりぬすきん)

ボツリヌス症を起こす菌。毒素を発生する。 毒素はA-G型があり、食中毒を起こすのはA/B/E型。

下痢、嘔吐、運動神経麻痺を生ずる。 呼吸筋麻痺で死亡する場合もある。 日本では原因はほとんどが飯寿司(E型)。

乳児がハチミツを含む食品を食べると乳児ボツリヌス症になることがある。 便秘、筋力低下等が起こる。

抗毒素血清で治療される。

(まらりあ)

マラリア原虫(プラスモジウム原虫)による4類感染症。 ヒトの血液を吸ったハマダラカが媒介する。 ヒトからヒトへは感染しない。

種類
熱帯熱マラリアが最も症状が重い。

熱帯熱マラリア
三日熱マラリア
四日熱マラリア
卵形マラリア

マラリア原虫の種類

急激な発熱が起こり2〜4時間続く。これが約48時間または72時間毎に繰り返される。 発熱が持続するタイプもある。 慢性期になると発熱は弱まるが貧血、脾臓や肝臓の腫大が起こる。

(やとびょう)

野兎病菌による疾患。4類感染症

北アメリカ、北アジア、ヨーロッパで発生している。 日本では1924年に初発生、東北全域、関東の一部でみられる。

subsp. tularensis. 北アメリカで見られる。10個以下の菌で感染する。 致死率は5%。

subsp. holarctica. 北アメリカ、ユーラシア大陸、日本でみられる。 病原性は弱く、死亡は稀。


ノウサギ等の剥皮、肉の調理等で感染する。 感染力はきわめて強い。

感染後3日-1週間の潜伏期間後に発熱、頭痛、筋肉痛等が発生する。 熱は長く続く。

治療は抗菌薬が用いられる。

(らいむびょう)

マダニに媒介されるスピロヘータ(ライム病ボレリア)による感染症。 1976年にアメリカのコネチカット州ライムで集団発生。 4類感染症。

日本では1986年に初の患者が報告。北海道、長野県で多い。

マダニに刺されると大きな赤い斑点ができ、3-4週間で治る。 症状が出ない場合もある。

細菌が全身に広がると悪寒、発熱、頭痛、筋肉痛、関節の痛み等の症状が出る。 髄膜炎、ベル麻痺が起こることもある。 症状は数ヶ月続く。

治療されないまま数ヶ月から数年経つと、間接炎が起こる。 まれに脳や神経の症状が出ることもある。

治療には抗菌薬が使われる。

(れぷとすぴらしょう)

感染動物の尿、または尿に汚染された水等を介して感染する。 3-15日の潜伏期を経て発熱等(第1期)を起こす。 その後黄疸等の第2期症状を示す。 多くは1期で軽快するが、2期に進展すると致死率が高い。

主にテトラサイクリン系抗菌薬で治療する。 ワクチンがあるが日本では認可されていない。

日本では北海道以外の全国でみられるが特に沖縄県で多い。


Generated by ldiary3.00beta t2h3_method 2008/09/28
Powerd by Ruby Ver 1.8.1