タンパク質 > アミノ酸
アミノ基(-NH2)とカルボキシル基(-COOH)をもつ化合物。 水溶液中ではアミノ基は塩基性、カルボキシル基は酸性を示すため、アミノ酸は両性化合物となっている。
通常アミノ酸というとα-アミノ酸を指す。 タンパク質の原料となる化合物で、タンパク質を構成するアミノ酸の数は20種類。
グリシン以外のアミノ酸のα-炭素原子は不斉炭素原子のためアミノ酸には1対の光学異性体が存在する。
タンパク質を構成する全てのアミノ酸は全てL型になっており、D型のものは天然にはほとんど存在していない。 L型は左旋性、D型は右旋性。
ヒトの身体のタンパク質は20種類のアミノ酸で構成。
1806年にフランスでアスパラガスの芽からはじめて発見された。 このアミノ酸はアスパラギンと名づけられた。 1935年までにタンパク質を構成する全てのアミノ酸が発見された。
隕石には微量のアミノ酸が含まれていることがある。 グリシン、アラニン、グルタミン酸、ベータアラニン等。
アミノ酸の分解
肝臓のアミノ基転移酵素によりアミノ酸のアミノ基をα-ケトグルタル酸に渡し、
グルタミン酸を生じる(アミノ基転移反応)。
グルタミン酸はグルタミン酸脱水素酵素により酸化的脱アミノ反応を受けてアンモニアを生じる。
アンモニアは毒性が強いため、肝臓の解毒機構である尿素回路によって尿素に変えられる。
尿素は腎臓を経て尿中に排泄される。
タンパク質構成以外のアミノ酸
5-アミノレブリン酸。 食品に含まれるほか、体内でも合成されるアミノ酸。
8分子の5-ALAに鉄が配位するとヘムが形成される。
アミノ基とカルボキシル基が同一炭素原子に結合するアミノ酸。 相対位置が遠ざかるにつれてβ-、γ-、…と称される。
鏡に映しても同一にならない構造のアミノ酸。
鏡に映すと同一になる構造のアミノ酸。 身体のたんぱく質を構成するアミノ酸は全てL体。
芳香族アミノ酸の一つ。 3つの異性体がある。
C10H16N4O3. アミノ酸の一種。 β-アラニン、π-メチル-L-ヒスチジンで構成。 マグロ、カツオ、渡り鳥の筋肉に多く含まれる。
o-アミノ安息香酸とも。
無色の結晶。ネズミの乳汁分泌に必要。
生体内ではアントラニル酸合成酵素によりつくられる。 またキヌレニンからもつくられる。
トリプトファンの母体となる。
塩基性のアミノ酸。タンパク質には含まれていないが、一部の抗生物質に含まれる。 哺乳類の尿素生成の中間体でオルニチン回路の一員。
アルギニンからアルルキナーゼにより生成され、 カルバミルリン酸の作用によりシトルリンになる。
アミノ糖の一種。 体内で合成されムコ多糖類の原料となる。 軟骨、結合組織に多く分布する。
C10H17N3O6S.
グルタミン酸、システイン、グリシンからなるトリペプチド(オリゴペプチド)。 細胞内に多量に存在し、活性酸素から細胞を守る。 グリオキシラーゼの補酵素としてはたらく。
生体では大部分が還元型。
自らのチオール基(SH基)を用いて活性酸素、過酸化物を還元して消去する。
また毒物、薬物のシステイン残基のチオール基にS-S結合(グルタチオン結合)することにより解毒を行う。
C6H13N3O3. タンパク質に存在しないアミノ酸。 体内では遊離アミノ酸として存在する。
オルニチン回路の中間体。オルニチンから生成される。
1930年にスイカの果汁から発見。
アミノ酸の一種。システインのSがセレンSeで置き換わったもの。 21番目の天然アミノ酸とされる。
一部の酵素(グルタチオンペルオキシダーゼ、ギ酸デヒドロゲナーゼ等)の活性中心にみいだされる。
また終始コドンのUGAが転用され使われている。
硫黄を含むアミノ酸様物質。 ウシの胆汁から発見され、名前の由来はタウルスから。 肝臓、肺、筋肉に分布する。
必須アミノ酸ではないが、新生児にはミルク、栄養剤に入れて補給される。 魚介類、軟体動物に多く含まれる。 ネコの目の維持にはタウリンが欠かせない。
水溶性。 生体内では遊離した状態で存在する。 多くの臓器に存在し、合計量は体重の0.1%。
体内での反応性が低く、浸透圧調節物質としてはたらく。 生体の恒常性維持において重要な役割を果たしていると考えられている。 胆汁と結合することがある。
コレラ菌はタウリンを認識する受容体をもち、タウリンを認識して感染する。
生体内ではメチオニンやシステインから合成されるが、 ヒトの場合合成能は低い。
ネコはほとんど合成できないためキャットフードにはタウリンが添加される。
化学合成されたタウリンは日本では医薬品、医薬部外品の扱いを受ける。 日本以外の多くの国では食品として扱われる。
3,4-ジヒドロオキシフェニルアラニン。 アミノ酸のひとつ。
チロシンの代謝中間体。 アドレナリンの前駆体。
アミン誘導体はドパミンと呼ばれる。
パーキンソン病の薬として使われる。
ドパミンは血液脳関門を通過できないが、L-ドーパは通過可能。 脳内では脱炭素酵素によりドーパミンになる。
アミノ酸の一種で血液中に存在する。
メチオニン代謝の過程で産生される。 システイン、α-ケト酪酸の前駆体となる。
血中濃度が高いと心疾患の危険因子となりやすい。 葉酸、ビタミンB6、B12が不足すると高くなりやすいとされる。