15族元素 > 窒素
単体は二原子分子の不活性ガス。
空気の主成分で体積の78.1%を占める。 主要鉱物は硝石、チリ硝石。
空気中の窒素は窒素固定の能力のあるバクテリアによりアンモニアに還元される。 マメ科の植物の根には根粒菌がおり窒素固定が可能。 雷が発生すると放電により空気中の窒素が酸化物となり雨になって地上に降り注ぐ。
必須元素、体重70kgの成人の身体にはタンパク質、アミノ酸として約1.8kg存在する。
ノックス。大気汚染、酸性雨の原因となる窒素酸化物の総称。
エンジン、ボイラで高温の酸素と窒素が反応してできる。 空気で雨水に吸収され、硝酸に変化する。
硝酸塩が変化したもの。 ヒトが硝酸塩を摂取すると体内で還元され亜硝酸塩に変化する。 発がん性をもつとされる。
酸アミド
アミド、カルボン酸アミドとも。-CONH2を持つ化合物のこと。
尿素等。
金属アミド
アンモニアの水素原子を金属原子で置換してできた化合物の総称。
脂肪族アミン
炭化水素残基がすべてアルキル基またはその置換体であるもの。
低級脂肪族アミンはアンモニアに似た臭いの気体。 動植物の腐敗により生じる。水によく溶ける。
芳香族アミン
アンモニアの水素原子が芳香族炭化水素と1個以上置換したもの。
アニリンが代表的。
高級脂肪族アミンと芳香族アミンは特臭をもつ。
一般的に有毒だが、薬や染料として有用なものが一部存在する。
複素環式アミン
アルカロイド
植物中に存在する。著しい生理活性をもつ複雑な構造のアミン。
NH3。 不快な刺激臭のある無色の気体。窒素と水素の化合物。 劇物指定。
水に非常に溶けやすく、水中ではアンモニウム(NH4+)と水酸化物イオン(OH-)になる。 アンモニア水は水酸イオンによりアルカリ性となる。
水中に棲息する動物のほとんどは 体内タンパク質分解により発生したアンモニアをそのまま水中に排泄する。 他の動物は尿酸、尿素のかたちで排泄する。
常温でも圧縮すると簡単に液化する。
植物は窒素分はアンモニアの形から吸収するため、アンモニアは窒素肥料の原料となる。
1906年にドイツのハーバーとボッシュは窒素ガスと水素ガスを用いて アンモニアの合成に成功(ハーバー-ボッシュ法)、のちに大量生産が可能になった。
陽性の大きい金属はアンモニアと化合してアミドを精製する。
ヒトの場合は主に腸でつくられる。
摂取したアミノ酸は肝臓でグルタミン酸を経由してアンモニアになる。 アンモニアはオルチニン回路(尿素回路)により 害の少ない尿素に変えられる。
神経毒性がある。 肝臓の機能が低下すると血液中に増加、中枢神経が障害され 脳症状、昏睡を引き起こす。
火力発電所等でのNOxの対策に利用される。 NOxを還元させ窒素と水にする。
8割は肥料として使われる。尿素、りん安、硝安、硫安等。 またメラミン樹脂、ナイロン等の原料になる。
生産量は2019年で約2億t。
日本の使用量は2019年で約108万t。 約8割は国内生産、残りはインドネシアとマレーシアからの輸入。
カーボンフリーの燃料として研究が進められている。
NH4+の組成をもつ+1価の多原子陽イオン。 水溶液中に存在する。アンモニアと比べると害は少ない。
海洋の植物プランクトンはNH4+を細胞内に取り込むことができる。
水のpHが高くなるとアンモニアの割合が高くなり、生物に悪影響を及ぼす。 アクアリウムではpHの管理が重要とされる。
カルビルアミンを参照。
NO。 無色無臭の気体。反応性の高いラジカル分子。
水に溶けにくい。 自動車のエンジン内で発生する。 非常に酸化されやすく、空気中で酸化されると二酸化窒素になる。
ヒト体内で微量ながら合成され、免疫系、神経系、循環器系等で多様な生理作用を示す。 ニトログリセリンを服用すると体内で分解により一酸化窒素ができ、冠動脈を拡張する作用がある。
N2O。笑気と呼ばれ、香気と甘味がある無色の気体。 吸うと顔面がひきつり笑ったように見える。
(0).カルバミドとも。 尿素からH1個がとれてできる一価の基H2N-CONH-のこと。
(1).尿素の水素原子をアシル基RCO-で置換した化合物の総称。 アシル尿素とも。
イソシアン化物、イソニトリル、カルバミンとも。 RCNで表わされる化合物の総称。 ニトリルの異性体。イソシアノ基-NCをもつ。
第一アミンをクロロホルムおよびアルコールカリウムと加熱すると生ずる(カルビラミン反応)。
悪臭のある無色の液体。有毒。
1分子内に2個のアミノ基をもつ化合物の総称。
パラフェニレンジアミンのことをさすこともある。
パラフェニレンジアミン
ヘアカラー(酸化染料)に使われる。
アレルギー性接触皮膚炎の原因となることがある。
HNO3。 酸化力が強く、金、白金を除くほとんどの金属と反応して硝酸塩をつくる。 また多くの有機化合物にニトロ基を付加する能力があり、 グリセリンからニトログリセリンが製造できる。
白金触媒を利用しアンモニアを酸素によって酸化させ、 水に吸収させて作る(オストワルト法)。
濃硝酸
希硝酸
金属等の陽イオンと硝酸イオン(NO3-)の塩。 一般的には水溶性。
熱すると酸素を放出し亜硝酸塩になる。 重金属塩は更に分解して酸化物と二酸化窒素になる。 このため高温では強い酸化作用を有する。
自然界に広く分布している。植物は窒素を硝酸塩、 アンモニウム塩のかたちで根から吸収する。
食品添加物としてチーズ、日本酒、肉、ベーコンに使われる。
肉の発色をよくする効果がある。 チーズでは酪酸菌の繁殖を抑える。酒は酸化を防止する。
ヒトの体内で還元され亜硝酸塩になる。 肉や魚に含まれるアミンと結合すると発がん物質のニトロソアミンに変化するとされる。
また硝酸塩は血液中に入るとヘモグロビンの鉄分を酸化させ 血液が酸素を運べなくなる。
アメリカでは1956年にブルーベビー事件が起きた。 硝酸塩を多量に含んだほうれん草が原因で39人の乳児が中毒を起こし死亡した。
第三級アミン。 刺激のある悪臭をもつ無色の気体。 魚が腐敗するときに生じる。
NO2。 赤褐色で刺激臭のある気体。有毒で劇薬扱い。 一酸化窒素が酸化されるとできる。
ニトロサミンとも。 RR'NNOで表される化合物の総称。ニトロソ基をもつ。 第二アミンに亜硝酸を作用させると得られる。
発がん性が強い。
CO(NH2)2. カルバミド。 炭酸のジアミド。水に非常に溶けやすい物質。 中性。
動物が摂取したタンパク質が分解されるとアミンが生じる。 最終的に尿素として無毒化され排出される。
ヒトの場合、尿を通じて1日約30g排出される。 腎臓の機能が低下すると血中尿素窒素(BUN)値が増加する。
サメ等は体内に尿素を合成して身体と海水の浸透圧を同じにしている。 死後の肉は細菌により尿素がアンモニアに分解される。
化学的には 二酸化炭素とアンモニアから合成される。 合成樹脂、塗料、肥料、化粧品に使われる。
無水ヒドラジンは無色、発煙性油状液体。アンモニア臭がある。 空気中では発煙し、強く熱すると爆発する。水によく溶ける。
弱い塩基でヒドラジニウム塩をつくる。
1水和物 N2H4・H2O
無色、発煙性の液体。有毒。
ロケット推進剤、医薬品等に用いられる。
複素環式アミンのひとつ。 化学式はC4H9N。
無色の液体で刺激臭がある。
有機合成の材料に使われる。 強塩基性を示す。
1,4-ジアミノブタン。 ジアミンだがポリアミンの一種として扱われる。
アルギニン、またはオルニチンから生成される。
スペルミジンおよびスペルミンの前駆物質。
C6H16N2.
1,6-ヘキサンジアミン、1,6-ジアミノヘキサンとも。 脂肪族アミンのひとつ。
特有のにおいのある固体。 アジポニトリルを還元すると得られる。
ナイロンの合成材料となる。
PA. 1分子中にアミノ基を2つ以上含む脂肪族化合物。 オルニチンとメチオニンから生成される。
C3H9N. 第三級アミン。 悪臭をもつ無色の気体。
魚が腐敗したときに発生する。 悪臭防止法の指定物質。
ヒトの場合はレシチンを原料に腸内細菌によりつくられる。 通常は肝臓で分解される。