15族元素 > リン
P. 化学的性質はヒ素に似ている。 リンを含む良質な鉱物は蓄積した生物の死骸、海鳥の大量の糞等からできたもの。 リン酸三カルシウム、ケイ砂、コークスを混ぜて電気炉で加熱し、リン蒸気を水中で凝縮させると白リンができる。
鉱石はリン鉱石、燐灰石等。
主な生産国は中国、モロッコと西サハラ、アメリカ、ロシア。 埋蔵量が最も多いのはモロッコと西サハラ。
体重70kgの成人の身体には700-780g含まれている。 DNAに多く含まれる他、ATPもリンを含む。細胞膜、神経組織にはリン脂質が含まれる。
リンを過剰摂取すると腎機能の低下、カルシウムの吸収阻害が起こる。
同素体が多い。
白リン(黄リン) | 毒性が強い |
赤リン | 白リンを空気を遮断して300度で加熱したもの、毒性が低い |
紫リン | |
黒リン |
腎不全になるとリンの体外排出能力が弱くなり、体内に蓄積しやすくなる。 リンは体内でカルシウムイオンと結合し、いろいろな箇所に沈着する。
高リン血症になると骨折しやすくなる。
食事摂取によるリンは体内で正常に代謝できない場合、老化現象につながるという研究がある。
食品ではタンパク質の多い食品に有機リンが含まれる。肉、乳製品、野菜、ダイズ等にも含まれる。 動物由来のものの吸収率は40-60%。植物由来のリンは吸収されにくく20-40%とされる。
ハム、ベーコン、練り物、チーズ、インスタント麺、インスタント食品等の加工食品には無機リンが含まれる。 無機リンは有機リンと比べると腸から吸収されやすい。 吸収率は90%以上。
P(mg) | |||
牛乳 | 100cc | 96 | |
ヨーグルト | 100g | 100 | |
プロセスチーズ | 25g | 183 | |
鶏レバー | 100g | 300 | |
鶏卵 | 60g | 90 | |
たらこ | 50g | 195 | |
いくら | 50g | 265 | |
納豆 | 60g | 95 | |
ピーナッツ | 8g | 31 | 10粒 |
米 | 150g | 51 | |
ラーメン | 150g | 47 | |
そば | 150g | 120 | |
スパゲティ | 230g | 106 | |
化合物
P4O10。 白色の粉末で昇華性がある。五酸化二リン(P2O5)であらわすこともある。 水に溶かして煮沸するとリン酸になる。
黄リンや赤リンを空気中で燃やすと得られる。 吸湿性が大きく、乾燥剤、脱水剤として使用される。
リンの同素体。ニンニクのような臭いがある。 空気に触れると自然発火して煙が出る。 人体に触れると水では消火が難しく、兵器として使われる。
H4P2O7. ポリリン酸の一種。二リン酸。 2分子のオルトリン酸から1分子の水が脱水してできた四塩基酸。
フィチン酸のカルシウム,マグネシウム塩のこと。
イノシットヘキサリン酸とも。C6H18O24P6・3H2O。 メソイノシットのヘキサリン酸エステル。
植物中にフィチンとして存在する。
種子が結実すると含有量が増え、発芽すると減る。
H3PO4。 オルト(正)リン酸の略称。 十酸化四リンP4O10を水に溶かして煮沸すると得られる。
純リン酸は不揮発性の無色の結晶で潮解性がある。 水溶液はやや強い酸性を示す。
核酸の構成成分の一つ。
植物の生育に欠かせない要素。 茎、葉、根の伸長を助け、開花や結実を促進する。 過剰症は出にくい。
無機態と有機態がある。肥料の大部分は有機態。
水溶性リン酸は水に溶けやすい。 土中の鉄やアルミニウムと化合すると不溶性化合物になる。 火山灰土は活性アルミニウムが多いので不溶性になるリン酸が多い。
リン酸の塩。 いくつか種類があるが通常はオルトリン酸塩(正リン酸塩)をさす。
肥料に使われる。 また食品添加物として加工食品、加工肉に添加される。
CAP. リン酸、ピロリン酸のカルシウム塩の総称。
リン酸三カルシウム
リン灰石(アパタイト)の主成分。
骨、歯の主成分、植物の生育にも必用。
無色、無定形の粉末。