カルボン酸


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有機化合物 > カルボン酸

カルボン酸

(かるぼんさん)

carboxylic acid. 分子中にカルボキシル-COOHをもつ化合物。

鎖式構造をもつモノカルボン酸は脂肪酸と呼ばれる。

一般式はRCOOH(Rは炭化水素基または水素H原子)であらわされる。 有機化合物は水に溶けても電離しないものが多いがカルボン酸はH+が電離する。 このための仲間に入る。 金属とは置換してをつくる。

第1級アルコールアルデヒド酸化によりつくられる。 生物の活動によっても生じる。

カルボキシル基の結合する炭化水素基の種類による分類

カルボキシ基の数による分類


沸点は同じくらいの分子量のアルコールと比べると高い。 2分子が水素結合で結びついて二量体となり、みかけの分子量が大きくなるため。

炭素数の少ない低級カルボン酸はに溶けやすく、水溶液は弱い性を示す。 カルボン酸は弱い酸だが、炭酸よりも強い

酸化されにくく通常の酸化剤による反応は起こらない。 ただし蟻酸はカルボキシル基とアルデヒド基をもつため例外的に酸化されやすい。 塩基と反応するとをつくる。

カルボン酸をアルコールと加熱(脱水縮合)するとエステルが生じる。

英数

アルファヒドロキシ酸。果物に含まれるためフルーツ酸とも呼ばれる。

カルボキシ(-COOH)が結合している炭素原子Cにヒドロキシ基(-OH)が結合している。

皮膚へのピーリング効果、角質剥離効果、シワ改善効果があり、化粧品に多用される。

(あくりるさん)

C4H4O2. 不飽和カルボン酸の一種。プロペン酸とも。 プロピレンを原料としてつくられる。

酢酸に似た臭いのある液体。毒性が強い。 単独で重合するとポリアクリル酸になる。

(あびえちんさん)

三環式ジテルペンの1つ。カルボン酸の一種。 ロジンの主成分。

マツ科植物の樹液が固化したものを水蒸気蒸留するとテレビン油が溜出される。 残った混合物(ロジン)を蒸留すると得られる。

(あんそくこうさん)

芳香族カルボン酸に属する。 無色の結晶。融点は123度。昇華性がある。 の強さは酢酸と同程度。

中世アラビア人が香料として用いていた安息香を 加熱、昇華して得られるためこの名がある。

(いたこんさん)

炭素数5のジカルボン酸。でビニリデン(H2C=C<)を有する。

糸状菌を用いて生産される。 工業製品の原料として利用される。

(かぷろんさん)

ヘキサン酸とも。飽和カルボン酸の一つ。

やや不快臭がある無色の油状の液体。 香料に使われる。 バター、ヤシ油、パーム油にグリセリドとして含まれる。

(ぎさん)

HCOOH. 強い刺激臭をもつ無色の液体。

アリやハチの毒液に含まれ、皮膚につくと水泡ができる。 イラクサにも含まれる。 消炎にはアンモニアが有効。

分子内にカルボキシとアルデヒド基の両方をもつため、 酸化性と還元性がある。

ホルムアルデヒド酸化によりつくられる。 酢酸より強い

(きっそうさん)

C5H10O2. カルボン酸の一種。ペンタン酸とも。 不快な臭いをもつ無色の液体。

吉草根にはイソ吉草酸が含まれる。

(くえんさん)

ヒドロキシをもつ多塩基カルボン酸

柑橘類の果実に含まれる。

呼吸ではクエン酸回路の一員を担う。

クエン酸ナトリウムカルシウムをカルシウム塩として補足するため、 輸血の血液凝固阻止に使われる。

(ぐりおきしるさん)

C2H2O3. アルデヒドカルボン酸の一つ。 動植物界に広く分布する。

グリシン生合成の前駆物質、分解産物。

加熱するとグリコール酸シュウ酸、水を生じる。

グリオキシル酸回路の中間体として重要。

(くろろさくさん)

モノクロロ酢酸とも。ClCH2COOH. 脂肪族カルボン酸の一種。潮解性の結晶。 劇物。

トリクロロエチレン硫酸で処理して合成される。

3種の結晶がある。

(けとさん)

ケトカルボン酸、ケトン酸とも。 同じ分子中にケトンのカルボニルOとカルボキシ基-COOHの両方をもつ化合物の総称。

β-ケト酸は不安定。分解するとケトンと二酸化炭素になる。

(こはくさん)

CH2COOH. ジカルボン酸の一種。

食品のうまみに関わる物質。 、清、地衣類に含まれる。

またクエン酸回路を構成する。

(こりすみさん)

コリスミン酸とも。C10H10O6.

シキミ酸経路における最終代謝物。

アントラニル酸を経てトリプトファンに、 プレフェン酸を経てフェニルアラニンとなる。

(さりちるさん)

C7H6O3. o(オルト)-ヒドロキシ安息香酸。カルボン酸の一種。 無色の針状結晶。

エステルとして植物精油に含まれる。 工業的にはフェノールと炭酸ガスからつくられる。

染料、医薬品原料に使われる。 の防腐剤にも使われていたが、現在は使用禁止。

(しきみさん)

C7H10O5. 芳香族カルボン酸の一つ。 シキミの果実に含まれる。

芳香族アミノ酸の前駆体として重要。 また没食子酸の前駆体でもある。

タミフルの原料にもなる。

(しきみさんけいろ)

微生物、植物がもち、芳香族化合物をつくる経路。

ホスホエノールピルビン酸とD-エリトロース-4-リン酸から7段階の反応によって、 コリスミ酸が合成される。

最終的にはフェニルアラニンチロシントリプトファンを合成する。

シキミ酸は中間体の一つ。

除草剤のラウンドアップ(グリホセート)はこの反応を阻害する。

(しゅうさん)

C2H2O4. (COOH)2. ジカルボン酸の一つ。 ジカルボン酸としてはもっとも簡単な化合物。 カリウム塩、カルシウム塩のかたちで植物界に分布。

名前はスイバの漢名による。

アクの成分。水に溶けやすい。

大量に摂取すると結石の原因になることがある。

(しゅせきさん)

カルボン酸の一種。2個の不斉炭素原子をもつ。

酒石酸水素カリウムから得られる。

3つの異性体がある。

Lはワインから発見され、様々な重要な発見に利用された。

(そるびんさん)

カルボン酸、不飽和脂肪酸の一種。 微生物への抗菌性があり保存料として使われる。 に難溶、エタノールには可溶。 天然ではナナカマドの果実に含まれる。

(てれふたるさん)

C8H6O4.

1,4-ベンゼンジカルボン酸とも。芳香族ジカルボン酸の一つ。 フタル酸イソフタル酸の異性体。

p-キシレンの空気酸化により製造される。 かつてはヘンケル法が使われていた。

白色の結晶。

PETの原料として使われる。

(にゅうさん)

CH3CH(OH)COOH. ヒドロキシ基を持つカルボン酸、α-ヒドロキシ酸。 古い牛乳、動物の血液筋肉中にある。特に疲労した筋肉内に多い。 D型とL型がある。

吸湿性が強い結晶。アルコールエーテルによく溶ける。 水溶液は性を示す。

から乳酸発酵でつくられる。 動物体内では解糖作用によりグリコーゲンから生成される。

(ほうこうぞくかるぼんさん)

ベンゼン環の炭素原子にカルボキシル基-COOHが結合した化合物。 カルボン酸によく似ており、還元性がある。

(ひどろきしさん)

オキシ酸。ヒドロキシ基をもつカルボン酸の総称。 ヒドロキシ基-OHとカルボキシル基-COOHを持つため アルコールカルボン酸の性質を兼ね備える。

に溶けやすく揮発性はない。 ふつうのカルボン酸より性が強い。

ヒドロキシ基の位置によりα,β,γ..と区別する。

(ふたるさん)

芳香族カルボン酸に属する。 ベンゼン環に2個のカルボキシル基が結合している。 無色の結晶。融点は234度。

フタル酸を加熱すると分子内脱水を起こして無水フタル酸になる。 フタル酸と無水フタル酸は合成樹脂や染料の材料に使われる。

イソフタル酸テレフタル酸異性体

(ふたるさんえすてる)

アルコールと無水フタル酸から合成される化合物の総称。 無色透明の液体。

フタル酸エステル生産量の約50%はDEHP。 プラスチックの可塑剤に使われ、全可塑剤の8割以上にあたる。

ヒトに悪影響を及ぼす可能性があり、一部の国では規制されている。

日本ではおもちゃ等で使用規制がある。

(ふまるさん)

C4H4O4. 不飽和ジカルボン酸の一つ。マレイン酸の幾何異性体。

一部のコケや菌類中に遊離のかたちで存在する。 また肝臓尿素回路、呼吸のクエン酸回路にかかわる。

フマル酸発酵により得られる。

(ぷろぴおんさん)

脂肪族カルボン酸の一つ。 刺激臭のある無色の液体。 乳製品に含まれる。

n-プロパノールの酸化により得られる。

エステル化の試薬として使われる。

反芻動物は第一中での細菌発酵により、 セルロース質をプロピオン酸に変えてエネルギーとする。

(ほふまんてんい)

カルボン酸のアミドに次亜塩素酸ナトリウム、またはハロゲンとアルカリを作用させると カルボニルの脱離した第一アミンが生ずる反応。

(ものくろろさくさん)

クロロ酢酸を参照。


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