14族元素 > 炭素
単体はダイヤモンド、黒鉛、フラーレンとして存在する。全て同素体。 結晶構造をもたないススや木炭等は無定形炭素と呼ばれる。
4個の最外殻電子をもち、4個の空席があるため多様な結合性をもつ。 地球上に存在する物質約7000万の90%は炭素を含む有機化合物。 体重70kgの成人の身体には16kg存在する。ほとんどの生命物質は炭素化合物。 C14はβ線を放出して崩壊する放射性同位元素。4万年までの間の化石や遺跡の年代測定に使われる。
化合物
CO. 無臭の有毒な気体。 酸素欠乏の状態で炭素を不完全燃焼させると発生する。
比重は0.967。
酸素より1000倍血液中のヘモグロビンと結合しやすく、 吸い込むと一酸化炭素中毒の危険性がある。
高温では強い還元性を示し、製鉄に利用される。
炭素を主体とする微粒子のこと。 導電性がある。 炭化水素を原料につくられる。
表面には水酸基、カルボキシル基等の官能基が存在し、 これらの量や組成を表面性状と呼ぶ。
製造法により性質が異なる。
graphite. 正式名称は石墨で黒鉛は通称。 炭素の同素体として産出する。 炭素と比べると結晶は規則的に配列している。 亀の甲状のグラフェンが層状になっている。
鉛が含まれていると信じられていたためこの名がある。
工業的には無煙炭、石炭コークス、カーボンブラック等の無定形炭素を原料とする。
黒色で六方晶系。層状構造を持つ、うろこ状または粒状の結晶。 潤滑性がありやわらかくなめらか。電気の良導体。 耐熱性、耐酸、耐アルカリ性。
六方晶系と三方晶系がある。鉱床は片麻岩に多い。
HOCN. 炭素のオキソ酸の一つ。
無色の液体。 気体では互変異性体のイソシアン酸HNCOとして存在する。
0度以下で安定。それ以上ではシアメリドとシアヌル酸に変わる。
水にわずかに溶け、強酸性を示す。
アンモニアで中和、加熱すると尿素になる。
黒鉛を参照。
H2CO3. 二酸化炭素を水に溶かすと発生する弱い酸。 水溶液にのみ存在。
ベータ線を放出して崩壊する放射性同位体。 炭素14を含む二酸化炭素は生体に取り込まれるが、生体が死ぬと入らなくなる。 生体に残された炭素14の量により年代測定が可能。
アクリロニトリル(H2C=CHCN)からつくる合成繊維を 無酸素状態で加熱して炭素成分のみを残したもの。 弾力に富み、丈夫で熱に強くて軽い性質をもつ。
二酸化炭素の固体。 液体二酸化炭素を急激に断熱膨張させるとできる。 冷却材に使われる。 1atm下では液体にならず昇華して直接気体になる。
CO2. 酸素が豊富な状態で炭素が燃えると発生する気体。 呼吸、発酵によっても出される。
密度は空気の約1.5倍と重い。
成人一人は一日あたり1kgの二酸化炭素を排出する。 毒性はほとんどない。 固体はドライアイスと呼ばれる。固体のまま気化(昇華)する性質がある。 消火器に使われる。酸素を遮断して消火する。
赤外線を吸収しやすく熱を保持する性質がある。 植物は光合成により年間約1000億tの二酸化炭素を吸収している。
工業用の二酸化炭素は石油精製、アンモニア、鉄鋼等から出る炭酸ガスを精製してつくられる。 日本にはこれらの大きな工場が少なくなってきているため、供給は不足している。 2010年頃からは不足分を韓国から輸入している。
fullerene. 炭素原子が球状の構造になっている化合物の総称。炭素の同素体。 C60等。 建築家のバックミンスター・フラーが建設したドームの構造に似ていたのが名前の由来。
1985年にクロトー、スモーリー、カールが発見。 星間物質の合成研究中にC60を発見した。 1970年には大澤映二が存在を予言していた。
炭素がつくる6角形だけでは球状にならず、 12個の5角形が介在する必要がある。 これはオイラーの法則として知られる。
n型半導体の性質をもつ。 一部は超伝導体の性質ももつ。
溶媒に溶かして分離すると単一化合物として取り出せる。