2族元素 > カルシウム
銀白色の金属。 水と反応すると水素を発生する。 天然には炭酸塩、硫酸塩、フッ化物(蛍石)として多量に存在する。
筋肉の収縮はカルシウムにより制御される。
(肥料として) 植物の分裂組織(特に根)の発育に欠かせない。 肥料の四要素と呼ばれる場合もある。
土の中には豊富に存在する。
(生体) リン酸カルシウムとして骨および歯のエナメル質に存在する。 またカルシウムイオンとしても存在し、血液、筋肉、神経に含まれる。
成人一人当たりの摂取量は男性で700-800mg、女性で650mg。上限値は2300mg。
小腸で吸収されるが吸収率は低め。
ビタミンDが不足すると吸収が悪くなる。 リンを過剰摂取すると吸収が阻害される。
不足すると骨や歯が弱くなる。 また神経、筋肉の興奮が高まりけいれんが起こる。
CaCl2. 天然では海水中に少量存在する。 工業的にはアンモニアソーダ法の副産物として多量にできる。
無水物は白色斜方晶系の固体。空気中では潮解する。 粒状のものは白色で吸湿性、潮解性があり、水によく溶ける。
水と反応すると多量の溶解熱を発生する。 また水の凍結温度を下げるため凍結防止、融氷雪作用がある。
用途
カルシウムカーバイド。 広義には炭化物、狭義には炭化カルシウムのこと。
CaO。生石灰とも。 白色の粉末、塩基性酸化物。
石灰石(炭酸カルシウムが主成分)を焼いてつくられる。
空気中では水と二酸化炭素を吸収して水酸化カルシウム、炭酸カルシウムになる。 水を注ぐと多量の熱を発生して水酸化カルシウムに変わる。
漆喰、モルタル、カーバイド、さらし粉の製造に使われる。
CaC2O4. シュウ酸のカルシウム塩。
キウイやパイナップル、ヤマイモ等はシュウ酸カルシウムからなる微細な針状結晶を含む。
一日の摂取量は成人で40-50mg程度とされる。
腎石症や結石の原因となる。
Ca(OH)2。消石灰とも。 白色の粉末。 水に少し溶け、水溶液は強いアルカリ性を示す。飽和水溶液を石灰水と呼ぶ。 生石灰(酸化カルシウム)に水を投入すると多量の発熱とともに得られる。
安価なため、酸性土壌の中和に利用される。 さらし粉、モルタルの原料になる。
生石灰(酸化カルシウム)のこと。 消石灰(水酸化カルシウム)、石灰石(炭酸カルシウム)のことを示す場合もある。
石灰質肥料として使われる。
硬度2、比重は2.3。
結晶石膏、焼き石膏、無水石膏の3種類があるが通常は結晶石膏の事を指す。
結晶石膏
2分子の結晶水をもつ硫酸カルシウム(Ca2SO4・2H2O)で、「二水せっこう」とも呼ばれる。
結晶石膏を約120度で焼くと焼き石膏になる。
結晶石膏を300度以上に加熱すると無水物の焼殺(しょうさい)石膏となる。 これは水と練っても硬化しない。チョークの原料となる。
焼き石膏
Ca2SO4・1/2H2O。
結晶石膏を120〜150度で加熱すると2/3の結晶水が失われ焼き石膏となる。
焼き石膏を水と練って放置すると結晶石膏となって固化する。
壁建材の石膏ボードは2枚の厚紙の間に水と練った焼石膏を流し込み 硬化させてつくる。
水酸化カルシウム、少量の水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを混ぜたもの。 人工呼吸器で二酸化炭素の除去に使われる。
100gのソーダライムで最大23Lを吸着できる。 吸着すると紫色になる。
CaC2.カーバイドとも。 無色正方晶系の結晶。 生石灰とコークス等を電気炉で熱して生成する。 水と作用させるとアセチレンを発生する。 加熱して窒素を作用させると石灰窒素を生じる。
CaCO3。 天然では石灰石、大理石、方解石、アラレ石として産出する。貝殻の原料にもなる。 水に溶けない。 加熱すると二酸化炭素を生じて酸化カルシウムになる。
食品添加物として使われる。
胃酸中和作用があるため一部の制酸薬に含有される。
CaSO4。 硫酸カルシウム二水和物CaSO4・2H2Oは石膏と呼ばれ、焼くと焼き石膏(CaSO4・1/2H2O)になる。 焼き石膏を水と混合して練ると硬化して体積が増え、石膏となる。