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cell.
真核細胞
核膜に包まれた核を持つ。
原核細胞
核膜に包まれた明確な核を持たない。
真正細菌、古細菌等。
生命の基本単位。全ての生命体は細胞で構成される。 全ての細胞はすでに存在している細胞から生じる(細胞分裂)。 17世紀にイギリスのロバート・フックがコルクの薄辺を観察して発見した。
大きさは真核細胞で10〜50μm。 ヒトの身体は約60兆の細胞で構成されている。 細胞を肉眼で観察するには顕微鏡が必要。
真核細胞(動物) | 真核細胞(植物) | 原核細胞 | ||
核 | ○ | ○ | × | nucleus |
核様態 | × | × | ○ | |
細胞骨格 | ○ | ○ | ○ | |
細胞壁 | × | ○ | ○ | cell wall |
細胞膜 | ○ | ○ | ○ | cell membrane |
(細胞小器官) | ||||
液胞 | × | ○ | vacuole | |
ゴルジ体 | ○ | ○ | Golgi apparatus | |
小胞体 | ○ | ○ | ||
中心小体 | ||||
ペルオキシソーム | ○ | ○ | ||
ミトコンドリア | ○ | ○ | mitochondrion | |
葉緑体 | △ | ○ | chloroplast | |
リソソーム | ○ | ○ | lysosome | |
リボソーム | ○ | ○ | ○ | ribosome |
induced pluripotent stem cell. 2006年に作り出された多能性幹細胞。 京都大学の山中伸弥教授が世界で初めて作製に成功した。
人間の体細胞にごく少数の因子を導入、培養することにより変化する。
動物細胞の液胞は小さく光学顕微鏡ではみえない。 成長した植物細胞ではひじょうに発達している。
細胞から分泌される顆粒状の物質。直径は50-150nm。 細胞外小胞の一種とされる。
細胞間の情報伝達に使われる。
細胞が外部の物質を取り込む過程の一つ。
細胞小器官。 油性の膜で包まれた細胞内の区画のこと。
組織、臓器に分化する元となる細胞。 増殖能と分化能をもつ。
ゴルジ装置。数枚の袋が重なった構造。 1898年にゴルジが神経細胞で発見。
細胞の内部に存在する構造。 細胞を支えるほか、細胞運動や小器官の運動に寄与する。
サイトゾル。細胞質の基質になっている透明で半流動性の液体。
オルガネラ。原形質が特殊化した構造物。 リボソーム以外の細胞小器官は膜に包まれている。
原核細胞と植物細胞に存在する厚い膜。 原核細胞と植物細胞では構造が異なる。
原核細胞
植物細胞
細胞を包んでいる膜。
ER.偏平な膜構造体。網目状に細胞質内に広がっている。 腺細胞、白血球等タンパク質合成のさかんな細胞で発達している。 粗面小胞体(RER)と滑面小胞体(SER)がある。これらが連続している部位もある。
核の外膜と一部が連続している。
ほとんど全ての真核細胞に存在する。 円筒形をした2個の中心粒がたがいに直角になるように位置している。
核の近くに存在している。 細胞分裂時に分かれて両極に移動し、紡錘体の起点となる。
接着斑。細胞同士の結合様式の一つ。
粒状体。植物細胞にのみみられる。 下記の三つがある。
細胞の化学反応により発生する過酸化物を集める小器官。 直径約0.2〜1.7μm。膜は一膜。 集めた過酸化物は酵素により分解される。
細胞内と細胞外のイオン濃度、組成の違いにより発生する電位差のこと。
細胞内にはカリウムイオン、外にはナトリウムイオンが多い。
静止電位
細胞が電気的活動をしていないときの膜電位。
細胞内は外に対しマイナスになっている。
膜電位が減少する現象は脱分極、元に戻ろうとする状態は再分極と呼ばれる。
活動電位
インパルスとも。
ナトリウム+チャネルが開き、細胞内に陽イオンが増え、膜電位がプラスになったときの電位変化のこと。
短糸状または短棒状の小体。真核細胞にのみみられる。 大きさは直径1.5μmよりも少し小さく、長さは2〜8μm程度で細菌とほぼ同じ大きさ。
名前は「糸のような小粒」の意。
細胞質で分解されたグルコース等の燃料分子は ミトコンドリアに入り化学的エネルギーをATPに変換する(細胞呼吸)。
分裂により細胞質内で増える。 個数は細胞により異なり、1〜数十万個。 卵細胞、肝臓等化学エネルギーがたくさん必要な細胞には多く含まれる。
外膜、内膜による二重の単位膜に包まれている。 内膜は内部へくびれこんでクリステ(櫛状構造)をつくる。 クリステ内側にはATP合成酵素が存在する。
内膜が包み込むスペースはマトリクスと呼ばれる。 内膜には呼吸の電子伝達系(水素伝達系)が存在し、電子を受け渡すほか、 生じたエネルギーをATPに蓄えている。
マトリクスにはクエン酸回路があり呼吸時の脱水素と脱炭酸をおこなう。
本来は好気性原核細胞だったが、 嫌気性の真核細胞に取り込まれて共生を始めた。 このため二重膜に包まれているほか、わずかだが独自のDNAを持っている。 DNAは一部しかないため、分裂のためには核のDNAが必要になる。
精子と卵子は共にミトコンドリアを持つが、精子のDNAは受精時に消失する。 受精卵に含まれるミトコンドリアは全て卵子(母親)由来のもの。
ミトコンドリアのDNAは突然変異を修復する機能がないため変異が蓄積しやすい。 ミトコンドリア脳筋症等の病態が存在する。これらの症状は母性遺伝する。
アポトーシスの発現にはミトコンドリアが大きく関わっているとされる。
ミトコンドリアDNA解析で母方の家系をたどると、 ミトコンドリア・イブと呼ばれる一人の女性にたどりつくとされる。
現代の人類は約35人の母親の子孫であることがわかっている。 日本人の場合は約95%が9人の母親の子孫とされる。
伝達物質。 細胞から別の細胞にはたらきかけるための化学物質。
クロロプラスト。プラスミドの一種。 藻類と緑色植物細胞に存在する細胞小器官(一部の動物細胞にも存在する)。
シアノバクテリアが取り込まれて共生したもの。
緑色色素クロロフィルをもち光合成をおこなう。 構造は生物により多少異なるが二重膜で包まれている。
チラコイド
ストロマ
直径0.4〜数μmの球状の袋。ゴルジ体によりつくられる。 細胞にとりこまれた栄養や異物を分解する場。
内部に約70種類の消化酵素を含み、高分子を加水分解して単量体にする。 袋は一重の単位膜でできている。 細胞内に侵入した異物や細胞内の不要物質の分解、細胞の自己消化にはたらく。
リソソームの加水分解酵素が一つでも欠けると リソソーム症と呼ばれる遺伝疾患となる。
リソソームの酵素はリボソームで合成される。 老朽化したミトコンドリア、小胞体もリソソームにより分解される。
ダルマ形で大きさ15〜20μmの顆粒。全ての細胞が持つ構造物。 核小体でつくられ、細胞質に移動する。 核酸の指令を受けてタンパク質を合成する場で合成の盛んな細胞ほど多い。
原核細胞のリボソームは真核細胞のものよりやや小さく、細胞質に浮遊している。
真核細胞のリボソームは細胞質中に存在するものと ミトコンドリア、葉緑体小胞体の中にあるものがある。
核から送られてきたRNAはリボソームにタンパク質合成の情報を伝達する。 つくられたタンパク質は小胞体の内腔へ押し出される。 メッセンジャーRNAはリボソームを串刺しにするかたちでつなげる。
遊離リソソームは細胞質でタンパク質を合成する。 ここで合成されたタンパク質は細胞の構成成分となる。