抗生物質


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抗生物質

(こうせいぶっしつ)

Antibiotics. 抗菌薬の一種。感染症に用いる化学療法薬。 微生物により生産される。

ウイルスには効果はない。

歴史

細胞壁形成の阻害

細胞膜の傷害

タンパク質合成阻害

核酸合成阻害

その他

英数

Extended Spectrum beta(β) Lactamase. 基質特異性拡張型βラクタマーゼ。 一部の薬剤耐性細菌が産生する酵素。 1980年代にヨーロッパで発見された。

クラスA型酵素の構造遺伝子の変異により セファロスポリン系を分解するようになったもの。 第三世代セファロスポリン薬に耐性を示す。

産生菌は肺炎桿菌、大腸菌等。 セラチア、エンテロバクター、その他腸内細菌でも見出される場合がある。 これらの菌は腸管内に存在するため院内感染の原因となることがある。

ESBLの遺伝子はプラスミドが由来のため、異なる菌種間で遺伝子が伝達されると 考えられている。

セファマイシン、カルバペネムが有効。

(あじすろまいしん)

マクロライド系の抗菌薬。 商品名はジスロマック。 長時間体内にとどまる作用があり、3日の服用で1週間効果が持続する。

リケッチア、クラミジア、マイコプラズマ等の感染症によく用いられる。

重症市中肺炎に対してβラクタム系抗菌薬と併用が推奨されている (ATS/IDSA 市中肺炎診療ガイドライン)。

授乳中は服用を避ける。 心臓のQT延長症候群が発生することがある。

(あみのはいとうたいけい)

アミノグリコシド系。 細菌のタンパク質合成を阻害する。

結核、緑膿菌に有効。 から吸収されにくく、また毒性が強い。 腎臓、聴覚障害が出ることがある。

耐性菌が多くなったため現在は一般感染症にはほとんど使用しない。

ストレプトマイシン結核
カナマイシン グラム陽性菌、陰性菌
ゲンタマイシン緑膿菌、セラチア等
アミカシン
フラジオマイシン毒性が強い、外用、トローチに使われる

(あむほてりしんB)

真菌等の細胞膜成分に結合し、抗真菌作用等をあらわす薬。

膜を形成するエルゴステロールと結合、膜を不安定化して細胞質成分を漏出させ 抗真菌作用をあらわす。 リーシュマニア原虫の細胞膜構成成分であるエピステロールにも有効。

ヒトや動物の細胞膜成分であるコレステロールにも親和性は低いが細胞傷害をおこす。 一部の製剤はリポソーム内にアムホテリシンBを保持し、傷害性を低減させている。

(あもきししりん)

ペニシリン系の抗生物質。

ピルと併用すると効果減少、不正出血が起こる場合がある。

(えりすろまいしん)

放線菌の一種(ストレプトミセス-エリスレウス)が生産するマクロライド系抗生物質。 1952年にアメリカのマクガイアが発見。

細菌、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ等の感染症に用いられる。 組織の傷害を防いだり、過剰な粘液分泌を抑える作用もあり、慢性炎症にも用いられる。

耐性菌が増加している。

(おきさぞりじのんけい)

細菌のタンパク質合成を阻害する薬。

(かなまいしん)

アミノ配糖体系の抗生物質。 ストレプトミセス-カナミケティクスの培養液から分離された。 細菌のmRNAの誤読を起こしタンパク質合成を阻害する。

内でアンモニアを産生する細菌を殺菌する作用もあり、 肝性脳症による高アンモニア血症にも投与される。

(かるばぺねまーぜ)

カルバペネムを分解する酵素βラクタマーゼの一種。

ペニシリンセフェム系にも耐性を示す。

(かるばぺねむ)

βラクタム系抗菌薬の一つ。 広い抗菌スペクトルを有する。

薬剤の使用拡大により近年は耐性菌が生じている。

(きぬぷりすちん)

ストレプトグラミン系抗菌薬。 細菌のタンパク質合成を阻害する。

ダルホプリスチンと30/70の割合で配合され投与される。

(きのろんけい)

抗菌薬の一種。 細菌DNA機能を障害して殺菌作用を示す。 DNA複製に必要なDNAジャイレースやトポイソメラーゼIV等の酵素を阻害する。

比較的新しい薬で耐性菌は少ない。 クラミジア、マイコプラズマにも有効。

小さい子供、妊娠中の女性には用いない。 ただしオゼックスのみ小児用がある。

一部飲みあわせの悪い薬がある。

ノルフロキサシン以降のものはニューキノロン系と呼ばれる。

(くらりすろまいしん)

マクロライド系の抗菌薬。

エリスロマイシンを改良したもので、 胃酸による影響が少ない。

細菌、マイコプラズマ、クラミジア、レジオネラ等の感染症に用いられる。 組織の傷害を防いだり、過剰な粘液分泌を抑える作用もあり、慢性炎症にも用いられる。

(ぐりこぺぷちどけい)

細菌の細胞壁合成を阻害する。

(くりんだまいしん)

リンコマイシン系の抗菌薬。

細菌のリボソーム50Sサブユニットに作用し、 ペプチド転移酵素反応の阻害作用により、タンパク質合成を阻害する。

グラム陽性球菌群(MRSA除く)、嫌気性菌群(一部除く)に効果がある。 マラリア原虫にも一定の効果があり、キニーネと併用されることがある。

大腸炎の副作用が多い。

エリスロマイシンと併用すると効果が発揮されなくなる。

(くろらむふぇにこーる)

サルモネラ感染症の第一選択薬。 広範囲の感染症に有効。 耐性菌の増加、重篤な副作用があることから 使用はサルモネラ感染症、百日咳ツツガムシ病等に限られている。

(けとらいどけい)

新しい範疇に属する抗菌薬。

(こうきんすぺくとる)

化学療法薬が有効な病原体の範囲のこと。

(さるふぁざい)

スルホンアミド剤。 抗生物質に先駆けて導入された抗菌薬

分子構造はパラアミノ安息香酸(PABA)に似ている。

細菌の発育に必要なPABAとの拮抗作用により 抗菌作用を示す。

乱用により耐性菌が増え、他にも多くの抗生物質が開発されたため現在はあまり使われない。

(すとれぷとまいしん)

streptomycin. 1944年にセルマン・ワックスマンが発見。 アミノ配糖体系に属する。 広範囲性抗生物質で、ペニシリンなどが効かない細菌にも有効。 ワックスマンは1952年にノーベル賞を受賞。

主に結核に使用される。内服では吸収されないため、筋肉注射する。

(せふぁろすぽりん)

βラクタム系の抗菌薬。

1948年にサルデーニャでセファロスポリウムというカビから発見された。

世代別に分類される。

第1世代グラム陽性球菌
第2世代グラム陽性球菌、特定のグラム陰性桿菌
第3世代インフルエンザ菌、一部の腸内細菌科細菌
第4世代グラム陽性球菌、グラム陰性桿菌
第5世代MRSA、ペニシリン耐性レンサ球菌

(せふぇむけい)

抗生物質の一つ。

管からの吸収が悪いため注射が一般的。 世代が増すほど抗菌スペクトルが広くなり、β-ラクタマーゼの抵抗性が増加する。

(せふぁぞりん)

セフェム系の抗生物質。 細菌の細胞壁合成を阻害する。

2019年年始には中国での原材料生産が中国当局により停止、供給不足に陥った。 代替品も供給不足となり混乱が生じた。

生産は年末に再開された。

(ちげさいくりん)

TGC. グリシルサイクリン系の抗菌薬。 ミノサイクリンの誘導体。

MRSA、VRE、ESBL産生グラム陰性菌、 カルバペネム耐性腸内細菌に有効。

(てとらさいくりん)

テトラサイクリン系の抗生物質。商品名はアクロマイシン。

(てとらさいくりんけい)

細菌のタンパク質合成を阻害する。

抗菌スペクトルが広く、リケッチア原虫、一部のウイルスにも有効。

菌交代現象を起こしやすく、近年はあまり使われない。 他の薬が効かない場合等に用いられる。

テトラサイクリン(アクロマイシン)
ミノサイクリン(ミノマイシン)
塩酸ドキシサイクリン(ビブラマイシン)

(なりじくすさん)

NA. キノロン系の抗菌薬。 1960年代にアメリカのスターリング・ウィンスロップ社が開発。 マラリア薬のクロロキンの合成中間体として発見された。 効果は弱いためそれほど普及しなかった。

(にゅーきのろんけい)

ピリドンカルボン酸系、フルオロキノロン系とも。 キノロン系のナリジクス酸(NA)をもとに開発された。 新しい抗菌薬のこと。 ノルフロキサシン以降が該当する。

細菌のDNA複製に不可欠な酵素であるDNAジャイレースおよびトポイソメラーゼの活性を阻害する。

呼吸器感染症、腎臓尿路感染症、胆道、内感染症に用いる。

非ステロイド性抗炎症薬と併用するとけいれんを起こすことがある。 またテオフィリン類と併用すると血中テオフィリン濃度が増加する。

(*)はレスピラトリーキノロンと呼ばれる。

(のるふろきさしん)

NFLX. ニューキノロン系の抗菌薬。 商品名はバクジタール。 従来の抗菌薬と比べると多くの細菌に有効。

一部の鎮痛薬との併用でけいれんを起こしやすくなる。

(ばんこまいしん)

抗生物質。 ストレプトマイセス・オリエンタリスが産生する抗生物質。 グラム陽性菌に抗菌作用がある。グリコペプチド系

菌の細胞壁ペプチドグリカン生合成を阻害し、 殺菌的に作用する。

MRSAの特効薬として開発されたが、 現在は耐性を持つバンコマイシン耐性腸球菌(VRE)が出現している。

(ぴぺみどさん)

PPA. キノロン系の抗菌薬。 ナリジクス酸を改良したもの。 緑膿菌への活性が高められた。

(ふじしんさんなとりうむ)

外用抗菌薬のひとつ。 ブドウ球菌属に対して強い抗菌力を有する。ステロイド骨格をもつ。 タンパク質合成を阻害する。

過敏症の既往歴がある場合は使用できない。

(ふるおろきのろんけい)

ニューキノロン系を参照。

(ぶれおまいしん)

拡散合成を阻害する抗生物質。糖ペプチド。 微生物、がん細胞の増殖を阻害する。

金属イオンと結合して活性型になりDNAを酸化的に切断、合成を阻害する。

(ぺにしりん)

ペニシリンG。 ペニシリン系の抗生物質。細菌の細胞壁の合成を阻害し、殺菌的に作用する。 人体細胞には細胞壁がないため、細菌のみに効果がある。グラム陽性菌に有効。 細胞壁の外に脂質の外壁を持つ細菌(グラム陰性菌)には効かない。 また耐性菌を生じやすい。

1928年にイギリスの医学者アレキサンダー・フレミングがブドウ球菌が青かびによって溶ける事を発見、 抽出に成功、青かびの学名から「ペニシリン」と名づけた。 その後フローリーとチェーンが単離に成功。 1940年にはチェイン、フローリーらによって化学構造が解明され、量産が可能になる。

1941年からは医療に使われはじめる。敗血症の警官に投与され、劇的な効果を示した。 その後感染症の特効薬として普及。フレミング、フローリー、チェーンは1945年にノーベル賞を受賞。

まれに体内の細胞と結合して抗原となる事があり アレルギー(ペニシリンショック)を起こして最悪の場合死亡することがある。 そのため1950年から徐々に改良、1962年には新型のセフェム系が作られた。

(ぺにしりんけい)

抗菌スペクトルの狭いもの

ベンジルペニシリン(PCG)(ペニシリンG)梅毒トレポネーマ
メチシリン ペニシリンG耐性菌

抗菌スペクトルの広いもの

アンピシリン 広域性
アモキシシリン呼吸器、尿路感染症
ピペラシリン

(ぺねむけい)

抗菌スペクトルが非常に広い抗生物質。 グラム陰性菌の一部には弱く、緑膿菌にはきかない。

ファロペネム(ファロム)

(べーたらくたまーぜ)

βラクタム系抗菌薬を分解する酵素。 一部の細菌がもつ。

アミノ酸配列によりクラスAからDに分類される。 基質特異性があり、異なる薬剤と反応する。

(べーたらくたむけい)

βラクタム環を母核とする抗生物質。 細菌の細胞壁合成に必要な酵素を阻害する。

(まくろらいどけい)

多員環ラクトンと糖を持つ抗生物質。 ラクトン環の構造により14員環、15員環、16員環に分かれる。

タンパク質合成を阻害する。 マイコプラズマクラミジアトレポネーマリケッチアにも有効。

エリスロマイシン(エリスロシン)
クラリスロマイシン(クラリス、クラリシッド)
アジスロマイシン(ジスロマック)

(みのさいくりん)

ミノマイシン。 テトラサイクリン系。細菌のタンパク質合成を阻害する。 慢性気管支炎、クラミジア、炎症の進んだニキビの治療薬として用いられる。

一般的な濃度のミノマイシンは静菌作用があり、高濃度は殺菌作用がある。

妊婦、搾乳中の女性には処方されない。 妊娠中期以降に使用すると、子供の歯が黄色くなることがある。 8歳未満の子供も葉が黄色くなることがあるので禁忌。

(めちしりん)

1960年につくられた半合成ペニシリン。 天然ペニシリンに耐性をもつ菌が対象。 ペニシリナーゼ抵抗性。

1960年頃より欧米で使用されたが、のちにMRSA等の耐性菌があらわれたため 現在日本ではほとんど使われていない。

MRSAはメチシリンだけでなく全てのβラクタム系に耐性がある。

(りねぞりど)

オキサゾリジノン系抗菌薬。商品名はザイボックス。 各種感染症の治療に用いられる。

2001年にVRE感染症薬として承認。

グラム陽性菌に対して広い抗菌スペクトルをもつ。

(りんこまいしんけい)

構造は異なるが、作用機序はマクロライド系と同様。

(れぼふろきさしん)

ニューキノロン系の抗菌薬。 商品名はクラビット。 クラミジア、マイコプラズマ、レジオネラ等にも有効。


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