内分泌細胞で産生されて一定の変化をもたらす物質。
血液にのって各器官に運ばれ、特定の細胞にのみ作用する。 ごく微量で大きな生理作用がある。
主なはたらき
器官別のホルモン
化学的構造による分類
デヒロドエピアンドロステロン。 副腎や性腺で産生されるホルモンの一種。 体内で約50種類のホルモンに変化する。
分泌ピークは25歳頃。
原料はコレステロール。
男性ホルモン。 副腎、精巣で産生するステロイドホルモンの総称。
insulin. 膵臓のランゲルハンス島B細胞で分泌される ポリペプチドホルモン。 主に糖により刺激されて分泌される。
肝臓、脂肪細胞等に存在するインスリン受容体に結合、 細胞へのグルコースの取り込みを促進し、血糖値を低下させる。
血糖値を低下させるホルモンはインスリンのみのため、 インスリンが不足したり作用力が低下すると糖尿病の原因となる。
インスリンが分泌過多の場合は低血糖となる。
発情ホルモン、卵胞ホルモン。卵胞から分泌される性ホルモン。 一部は副腎皮質から分泌。妊娠時は胎盤でも作られる。 女性生殖器官の発達に影響を及ぼす。
ステロイドホルモンに属する。
発情の誘発、生殖腺や乳腺の発育、第二次性徴の発現を促進する作用がある。
長寿ホルモンとも呼ばれ、多くの器官に好影響を与えている。 女性が男性より長生きする理由の一つにエストロゲンの関与がある。
胃酸分泌を抑制するホルモン。 胃から十二指腸に食物が移動すると十二指腸粘膜から分泌される。
女性ホルモンの一種。 黄体から分泌される。主にプロゲステロンで構成。
視床下部でつくられ下垂体後葉に貯蔵されるホルモン。 標的となる細胞膜上にはオキシトシン受容体が存在する。
子宮、乳線の平滑筋に作用し、分娩時の子宮収縮、搾乳期の乳汁放出作用を促進する。
セックス中にオーガズムに達すると脳から分泌される。 男性の場合は射精により上昇する。
近年自閉症、うつ等の精神疾患改善効果について注目されている。
小さな内分泌腺で間脳の視床下部の下に細い茎でぶらさがっている。 蝶形骨のトルコ鞍の中に位置する。重さは0.5-0.8gで大きさはダイズ大。
前葉、中葉、後葉に分かれる。
前葉
中葉
後葉
胃、十二指腸より分泌されるホルモン。 胃酸とペプシノゲンの分泌を亢進する。
calcitonin. 甲状腺が分泌するホルモン。 骨、腎尿細管、消化管に作用、血中のカルシウム濃度を下げる。 血中のカルシウム濃度が上がると分泌される。
パラソルモンと作用が拮抗する。
内分泌かく乱物質。ホルモンに似た構造で、体内に入るとホルモン作用を阻害、 生体に害を与える。
肝臓の解糖をうながしグリコーゲン分解により血糖値を上昇させる。 胃、小腸の運動抑制作用ももつ。
胃から分泌されるホルモン。ペプチドホルモン。 下垂体にはたらき成長ホルモンの分泌を促進する。 また視床下部にはたらいて食欲を増進させる。
腸、膵臓、視床下部、胎盤、腎臓でも産生される。 胃では胃体部に多い。
のどの気管を取り囲むように存在している器官。 重さは10-25g。
多数の濾胞細胞で構成されている。 濾胞中のチログロブリン(サイログロブリン)からホルモンを分泌する。 濾胞構造の外側にある傍濾胞細胞はカルシトニンを分泌する。
体内ヨウ素(ヨード)の90%は甲状腺に存在する。 裏側に複数の副甲状腺がある。
AMH. 発育過程にあるごく初期の卵胞から分泌されるホルモン。 卵巣が卵子をどれぐらい排卵する能力があるかを知ることができる。 値は思春期がピークで、加齢に伴い減少する。
値が高すぎる場合は多嚢胞性卵巣症候群の可能性がある。
性腺刺激ホルモンを参照。
下垂体、胎盤から分泌されるホルモン。 胎盤から分泌されるものはヒト絨毛性コナドトロピン(hCG)と呼ばれ区別される。
卵巣の黄体を維持し、妊娠黄体として存続させる。 黄体からは黄体ホルモンが引き続き分泌される。 尿中に分泌されるため妊娠反応の検査に利用される。
副腎皮質刺激ホルモンを参照。
チロキシンとも。 甲状腺でつくられるホルモン。アミノ酸。 生体ではチログロブリンとして甲状腺に貯蔵される。 必要に応じて分解され、血液中に放出される。
ほぼ全身の細胞での基礎代謝や物質代謝を亢進させる。 二面性があり通常の量では促進するが、過剰だと抑制する。
分泌過多の場合はバセドウ病となる。 成長期の初期より分泌が低下しているとクレチン病となる。 成人になってから甲状腺機能が低下すると 粘液水腫となる。
第三脳室に存在する4×8mmの卵形の器官。 松果体細胞と神経膠細胞で構成。メラトニンを分泌する。 成人では退化する。
ゴナドトロピンとも。下垂体から分泌されるホルモン。 ともに糖タンパク質。
ゴナドトロピン分泌促進ホルモン(LH-RH)により分泌を調節される。
LH
FSH
下垂体より分泌される。 成長期に骨端の軟骨細胞に作用し、増殖と骨化を促進する。 また器官細胞の成長を促進する。
成長期の過剰分泌では巨人症、不足時は小人症となる。
十二指腸、空腸から分泌されるホルモン。 重炭酸塩に富む膵液の分泌を促進し、 胃酸の分泌を抑制する。
インスリンとグルカゴンの分泌を抑制するホルモン。 膵臓のランゲルハンス島から分泌される。
サイロキシンを参照。
アンドロゲンの一種。精巣、卵巣、副腎皮質から分泌される。 針状結晶。 男性の第2次性徴の発現を促し、精子形成を促進する。
分泌量は20歳頃から年1-2%の割合で減り始める。 速さは個人差が大きい。
性腺刺激ホルモンにより増産される。 視床下部から分泌される黄体形成ホルモン放出ホルモンにより分泌が抑えられる。
女性の分泌量は男性の5-10%。
男性の分泌は日内変動がある。
低い場合は下記の特徴があらわれる。
ADH.抗利尿ホルモン。
視床下部でつくられ下垂体後葉に貯蔵されるホルモン。 腎臓に作用し、尿量を抑制し、体液の浸透圧を維持する。
欠乏すると尿崩症となる。 点鼻薬(デスモプレシン)は尿崩症の治療に用いられる。
副甲状腺でつくられ分泌されるホルモン。 骨のカルシウムをイオンとして血中に遊離、 ビタミンDの活性化により血中カルシウム濃度を増加させる。
カルシトニンと作用が拮抗する。
甲状腺の裏側に2〜6個存在する小豆大の器官。 パラソルモンを分泌する。 加齢とともに組織中の脂肪の割合が増大する。
左右腎臓の上部にある内分泌器官。 重さは男子で平均10g、女子で平均12g。 外側の副腎皮質、内側の副腎髄質に分かれる。
副腎の内側に存在する部分。 死後融解しやすいため発見されるのが遅かった。
髄質細胞はクロム親和性がある。 神経外胚葉由来で交感神経と同じ性質をもつ。
A細胞(明細胞) | アドレナリンを産生 |
B細胞(NA細胞、暗細胞) | ノルアドレナリンを産生 |
副腎の外側に存在する部分。 下記3層に分かれており、分泌するホルモンは異なるが分担は厳密ではない。
(外側より) | 分泌される主なホルモン | |
球状帯 | 鉱質コルチノイド | 主にアルドステロン |
束状帯 | 糖質コルチノイド | 主にコルチゾール |
網状帯 | 性ホルモン |
女性ホルモンの一種。黄体ホルモンの主要物質、副腎皮質ホルモンの原料。 黄体、胎盤、副腎皮質に含まれる。
受精卵の着床の寄与、下垂体の性腺刺激ホルモンの分泌抑制、 妊娠の維持、胎児の生育維持の作用をもつ。
合成も可能。
PRL。乳汁分泌刺激ホルモン。
下垂体でつくられ、乳線上皮と副腎、卵巣、前立腺に作用する。 乳腺上皮の発育、乳汁産生の刺激をおこなう。 上記以外の器官の作用は乏しい。
腎臓の血流が低下した場合に尿細管の緻密斑から分泌される。 アンギオテンシンIIを介して血圧を上昇させる。