13族元素 > アルミニウム
アルミ。原子番号13。
地殻中に酸素、ケイ素に次いで多く存在する。 クラーク数は3位で金属元素としては最も多い。 主要鉱石はボーキサイト、カオリン。
銀白色の軽金属。非磁性体。 空気中では薄い酸化被膜(酸化アルミニウム)をつくり、耐食性が高い。 アルマイト処理をおこなうと耐食性を強化できる。
熱伝導率は鉄の約3倍。 融点は約660度と低め。
空気中で燃やすと酸化アルミニウムになる。
軽量で熱伝導率が高い。 電気抵抗は銅についで低い。銅と比べると軽いため高電圧送電線によく使われる。
アルツハイマー病の原因物質ではないかという説がある。
純アルミニウムはやわらかい金属だが他の金属を添加したり加工、熱処理により強度を増すことができる。
ガリウム等の液体金属と接触させると脆くなる性質がある。
(製造)
ボーキサイトからアルミナへはバイヤー法、 アルミナからアルミニウムはホール・エルー法(1886年発明)が使われる。 ホール・エルー法は多量の電力を必要とする。酸化アルミニウム電解時は2tあたり約13,000kWhの電力を消費する。
溶接は交流TIG溶接がおこなわれる。 アルミ合金表面の酸化皮膜は融点が非常に高いため、除去のために交流が用いられる。
母材が-になると酸化皮膜が除去される(クリーニング作用)。 電極+の溶接は電極の消耗が激しいが、交流により電極が-になったときは 消耗が抑えられる。
(アルミニウム合金)
JIS | ||
1000系 | 非熱処理 | 純アルミニウム |
2000系 | 熱処理 | Al-Cu系、Al-Cu-Mg系合金 |
3000系 | 非熱処理 | Al-Mn系合金 |
4000系 | 非熱処理 | Al-Si系、Al-Si-Cu-Mg系合金 |
5000系 | 非熱処理 | Al-Mg系合金 |
6000系 | 熱処理 | Al-Mg-Si系合金 |
7000系 | 熱処理 | Al-Zn-Mg系合金 |
1000系 | 強度が低い |
2000系 | 鋼材並の強度、銅を含むため耐食性に劣る |
3000系 | |
4000系 | 熱による膨張が少ない |
5000系 | 中程度の強度 |
6000系 | 強度耐食性が高い、溶接に弱い |
7000系 | 強度が最も高い、銅を添加したもの(A7075)は超々ジュラルミンと呼ばれる |
別名
人工的に酸化皮膜をつくったアルミニウムのこと。 陽極酸化処理でつくられる。耐食性強化のために用いられる。
酸化アルミニウムのこと。
Al2O3。アルミナ。 白色、無定形の粉末。 水に溶けないが、酸とも塩基とも反応する両性酸化物。 アルミニウムの原料。
バイヤー法を用いてボーキサイトによりつくられる。 バイヤー法は1887年にオーストリアの化学者カール・バイヤーが発明。
天然に産出する純粋な酸化アルミニウムにはコランダム(鋼玉)、 ルビー、サファイア、金剛砂等がある。 サファイアは酸化アルミニウムの単結晶。
duralumin. 1906年にドイツのウイルムが開発した合金。
アルミニウムに銅、マグネシウム、マンガン等を少量混ぜて合金にすると時間とともに硬さが増す。 名前の由来は初めて生産したジューレン工場より。 ウイルムが開発したジュラルミンはCu5%、Mg0.5%で現在の2017に相当する。
超ジュラルミン(2024) ジュラルミンのマグネシウム量を1.5%に増やし時効硬化の性質を高めている。
超々ジュラルミン(7075) 2024から銅を少なくして亜鉛を5.6%加えたもの。
[CH3CH(OH)COO]3Al.
白色の粉末。 皮膚、粘膜等の収斂作用があり、知覚過敏用の歯磨き粉に配合される。
bauxite. アルミニウムの水酸化物を主成分とする鉱石。
鉱物組成はギブス石、ベーマイト、ダイアスポア等。 組成は酸化アルミニウムが40〜70%。 酸化鉄、二酸化ケイ素を含む。
熱帯のラテライトによくみられる。