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燃料、石油化学工業の原料として使用される。 炭素数が2〜40くらいの炭化水素の混合物。 地下にたまる粘液体。
蒸留により下記のように分離される。
温度 | 備考 | |
石油ガス | 30度以下 | 液化石油ガス(LPG)の原料 |
ナフサ | 30〜200度 | 粗製ガソリン、ガソリンの原料 |
灯油 | 150〜270度 | |
軽油 | 230〜350度 | |
残渣油 | - | 重油、アスファルトの原料 |
存在については紀元前から知られていたが、本格的に使われるようになったのは1870年頃から。
石油類にかかる税(消費税は除く)
Liquefied Petroleum Gas.液化石油ガス、LPガス。 石油ガスを加圧して液化したもの。 主成分はプロパンやブタンのため、単にプロパン、ブタンと呼ばれることもある。
天然ガスのメタンよりも沸点が低いため、冷却しなくても加圧するだけで液化できる。 -42度まで冷やすと液体になる。体積は約1/250になる。
日本のLPGの年間消費量は約1420万t(2016)。 約4割は家庭用、約2割は工業用に使われる。
家庭用燃料(プロパンガス)やタクシーの燃料に使われる。 タクシーの80%以上はLPGを燃料としている。
輸送は液体の状態でおこなわれ、使用時にガス化して使用する。 このためLNGよりも運搬性が高い。
本来は無臭だが、法律によりガス特有のにおいがつけられており、漏れた場合すぐに気づくようになっている。
空気より重いため、漏れた場合は下の方にたまる。
都市ガスの約2倍の熱量がある。
LPガス1molは44g。
gの換算
22.4は標準状態の1molあたりの気体体積
生産方法は複数ある。
プロペラ機等の航空機用ガソリン。 アルキル鉛化合物等のアンチノック剤を少量添加している。
いくつか種類があるが、日本で使われているのはAVGUS100LL(青色)のみ。
100はオクタン価。 LLはLow Leadの略、少量の鉛が含まれていることを示す。
ガソリンのアンチノック性を表す指数。 高いほどエンジンのノッキングが起きにくくなる。
沸点は30-220度。 揮発性が高く気体になりやすい。 引火点は-40度以下で引火しやすい。
1Lが燃えると2.32kgの二酸化炭素を出す。
ヨーロッパのレギュラーガソリンのオクタン価は95。日本は89。 ヨーロッパのレギュラー車を日本で使用する場合はハイオクガソリンが必要となる。
種類
自動車用ガソリン
JIS K 2202による分類。
オレンジ系の色がつけられているほか、添加剤も添加されている。
(E)は酸素分の多いタイプでE10対応ガソリン車でのみ使用できる。
オクタン価 | |
1号(ハイオク) | 96.0以上 |
1号(E) | 96.0以上 |
2号(レギュラー) | 89.0以上 |
2号(E) | 89.0以上 |
工業用ガソリン
規格はJIS K 2201。
用途 | |
1号(ベンジン) | 洗浄用 |
2号(ゴム揮発油) | ゴム用溶剤、塗料用 |
3号(大豆揮発油) | 抽出用 |
4号(ミネラルスピリット) | 塗料用 |
5号(クリーニングソルベント) | ドライクリーニング、塗料用 |
引火点(度) | |
1号(ベンジン) | - |
2号(ゴム揮発油) | - |
3号(大豆揮発油) | - |
4号(ミネラルスピリット) | 30以上 |
5号(クリーニングソルベント) | 38以上 |
燃料油価格激変緩和補助金。 2022/1に開始。
当初の上限額は1リットルあたり5円。
揮発性の高い油。原油からつくられる。
化粧品等の香料として使われる物質。 サクラの葉、シナモンに微量含まれる。 過剰摂取すると肝臓障害の危険がある。
また不正軽油対策として灯油、A重油に混入される。 ブラックライトを当てると蛍光反応が出て識別される。
自動車、列車、船舶等 ディーゼルエンジンの燃料に使われる。 規格はJIS K 2204。
沸点は180-350度。引火点は50-60度。
流動点の違いにより分類される。 気温が低い場合は流動点の低いものを使用する必要がある。
ガソリンと比べると火がつきにくく燃えにくい。
引火点(度) | 流動点(度) | |
特1号 | 50以上 | +5 以下 |
1号 | 50以上 | -2.5以下 |
2号 | 50以上 | -7.5以下 |
3号 | 45以上 | -20 以下 |
特3号 | 45以上 | -30 以下 |
ディーゼルエンジンは灯油、A重油でも動く。 寒冷地では凍結を防ぐため冬季は灯油を混ぜる場合があるとされる。
大量に混ぜたものは不正軽油と呼ばれる。 不正軽油は通常の軽油より汚染物質が多く排出される。
税金は軽油引取税がかけられる。
ケロシン系ジェット燃料。 航空タービン燃料油の1種。
タービンエンジンに使われる。
色は無色透明。
石油製品の原料となる油。 主成分は炭化水素。
原油は加熱炉で約350度に加熱され、常圧蒸留装置により 沸点の違いを利用して各留分に分けられる。
沸点範囲
ガス分 | メタン 沸点-163度 |
エタン 沸点- 89度 | |
LPG | プロパン 沸点-42度 |
ブタン 沸点- 1度 | |
ガソリン | 35-180度 |
灯油 | 170-250度 |
軽油 | 240-350度 |
残油 | 350度以上 |
原油の分類
パラフィン基原油
パラフィンを多く含みアスファルトを含まないもの。
ナフテン基原油
ナフテンを多く含みアスファルト分をもちパラフィンを含まないもの。
混合基原油
前二者の中間にあるもの。
原油からの石油製品の得られる割合は一定になっている(得率)。 このため一部の製品だけを大量に得ることはできない。
得率(2013年)
得率(%) | |
揮発油 | 27.3 |
ナフサ | 10.2 |
ジェット燃料油 | 7.7 |
灯油 | 8.8 |
軽油 | 21.6 |
A重油 | 7.1 |
B・C重油 | 11.3 |
燃料油計 | 94.2 |
重質油に関しては分解装置によりガソリン、灯油、軽油の製造が可能。
1日あたりの生産量の多い国(2013年)
生産量(万バレル) | ||
1 | サウジアラビア | 1152.5 |
2 | ロシア | 1078.8 |
3 | アメリカ | 1000.3 |
4 | 中国 | 418.0 |
5 | カナダ | 394.8 |
6 | アラブ首長国連邦 | 364.6 |
7 | イラン | 355.8 |
8 | イラク | 314.1 |
9 | クウェート | 312.6 |
10 | メキシコ | 287.5 |
Avgas. Aviation Gasoline. 航空用に使われるガソリン。 ピストンエンジンに使われる。
自動車用と違い、鉛が添加されている。
規格は日本ではJISが適用される。
オクタン価により種類が分かれる。
LLはLow Leadの略。 日本では100LLのみが使われる。青色に着色されている。
ジェットエンジン用の燃料。
灯油形(ケロシン系) | JetA-1 JP-5 |
広範囲沸点形(ワイドカット系) | JetB JP-4 |
ワイドカット系
ナフサと灯油を混ぜたもの。割合は約5:5。
低温、真空時の着火性が良い。
原油から多くの製品を精製したあとに残る残油。 炭化水素が主成分で他に硫黄、無機化合物が含まれる。 危険物第三石油類に分類。 規格はJIS K 2205。動粘度により下記に分類される。
3種が最も動粘度が高い。
引火点(度) | 動粘度 | ||
1種(A重油) | 1号 | 60以上 | 20以下 |
2号 | 60以上 | 20以下 | |
2種(B重油) | 60以上 | 30以下 | |
3種(C重油) | 1号 | 70以上 | 250以下 |
2号 | 70以上 | 400以下 | |
3号 | 70以上 | 400を超え1000以下 |
2022年現在。
北海道 | 出光興産 | 苫小牧 | |
東北 | ENEOS | 仙台 | |
関東 | 鹿島石油 | 鹿島 | |
関東 | コスモ石油 | 千葉 | |
関東 | 大阪国際石油精製 | 千葉 | |
関東 | 出光興産 | 千葉 | |
関東 | 富士石油 | 袖ケ浦 | |
関東 | ENEOS | 川崎 | |
関東 | 東亜石油 | 京浜 | |
関東 | ENEOS | 根岸 | |
中部 | 出光興産 | 愛知 | |
中部 | コスモ石油 | 四日市 | |
中部 | 昭和四日市石油 | 四日市 | |
関西 | コスモ石油 | 堺 | |
関西 | ENEOS | 堺 | |
関西 | ENEOS | 和歌山 | 2023/10停止 |
中国 | ENEOS | 水島 | |
中国 | ENEOS | 麻里布 | |
中国 | 西部石油 | 山口 | 2024/3停止 |
四国 | 太陽石油 | 四国 | |
九州 | ENEOS | 大分 |
ケロシン。暖房等に使われる。引火点は40度以上。 規格はJIS K 2203。2号灯油は現在ほとんど使用されていない。 硫黄分は80ppm(0.0080%)以下に既定。
ディーゼルエンジンは灯油でも動くとされる。 不正防止用にクマリンが混入されている。
油脂等を溶かす性質がある。
1号 | 灯火、厨房用 |
2号 | 石油発動機(動力用)、溶剤、機械洗浄用 |
分留範囲が30〜230℃の直留軽質留分のこと。 石油化学工業、ガソリンの原料となる。 沸点はLPGの次に低く30〜230度。
分留範囲(度) | |
軽質ナフサ(LSR) | 30〜140 |
重質ナフサ(HSR) | 40〜230 |
ホールレンジナフサ(WSR) | 30〜230 |
軽質ナフサはガソリンの基材、石油化学用原料となる。 重質ナフサは接触改質装置に張り込まれ、オクタン価の高いガソリン基材になる。
ナフサから得られる基礎製品。 これらからプラスチック、合成繊維、合成ゴム、合成洗剤、塗料等がつくられる。
ガソリンエンジンのシリンダー内で起きる異常燃焼。 騒音の原因となる。
オクタン価が高いガソリン。 96オクタン以上。
レギュラーは89か90。
ヨーロッパではプレミアム(96以上)、スーパープラス(98以上)がある。
レギュラーと比べると添加物が異なる。 添加物により高いオクタン価を実現する。
レギュラーガソリンよりも圧縮時に自己着火しにくく、 高圧縮による高出力が可能になる。
石油から分離された白色半透明の固体。 水をはじく性質がある。 ワックス、ろうそく、マッチ、クレヨン等の原料になる。
灯油からクマリンを除去する際に発生する物質。 硫酸や石油由来の有害物質を含む。
ろう。常温で固体、加熱すると液体となる有機物。 原料は動物、植物、鉱物、石油。
9割は石油ワックス。
床や機器のつや出し、紙製品加工、タイヤ、ロウソク、ホットメルト接着剤、 電気絶縁材等に用いられる。