原子力発電 > 原子炉
原子核の熱エネルギーを利用して水蒸気を発生する炉。 水蒸気は発電機に送られる。
種類(軽水炉)
軽水炉 | LWR Light Water Reactor |
BWR Boiling water reactor | |
PWR Pressurized water reactor |
種類(その他)
重水炉 | |
黒鉛炉 | |
ガス冷却炉 | |
GCR Gas cooled reactor | |
高温ガス炉 | |
高速炉 | FR Fast Reactor. |
高速増殖炉 | FBR Fast Breeder Reactor. |
構成材料
沸騰水型原子炉。軽水炉の一種。 炉内で直接水蒸気を発生させてタービンを回し発電する。 水の圧力は約70気圧で温度は280-290度。
冷却構造がシンプルだが、水によりタービンが放射能を帯びるのが難点。
PHWRを参照。
炭酸ガス冷却黒鉛減速炉。 コールダーホール型炉、マグノックス炉とも呼ばれる。 世界で最も早い時期に実用化された原発。 イギリスで1956年に運転開始。
燃料は天然ウラン。 燃料被覆材にはマグノックス(マグネシウムを母材とした合金)が使われる。
日本の東海発電所は日本向きに改良した改良型になっている。
非常用復水器。 BWR原子炉内の蒸気を水にして原子炉に戻す機器。 ポンプは用いず自然作用を利用するため、全電源が喪失しても動作する。
Pressurized Heavy Water Reactor. 加圧重水炉。
PHWRのうち圧力管型はカナダが実用化に成功しており、 韓国等各国に輸出されている。 このためCANDU炉 (Canadian Deuterium and Uranium Reactor)とも呼ばれる。
加圧水型原子炉。軽水炉の一種。 炉内に一次ループと二次ループの水がある。 一次ループの水は沸騰しない程度に加圧されており、 蒸気発生器を通して二次側に熱を伝え、二次ループの水でタービンを回す。 一次ループの水の圧力は約160気圧で温度は290-330度。
一次ループの水にはホウ酸が混ぜられており、 濃度を変えて中性子吸収量を調節できる。
二次ループの水は放射能を帯びない利点があるが、構造が複雑なのが難点。 蒸気発生器は膨大な細管で構成されており、腐食で穴があくことがある。
原子力発電に用いる燃料。 燃料集合体のかたちに加工されている。
日本の場合、燃料はウラン235 4%、ウラン238 96%を混ぜたものが使われる。 ペレットと呼ばれるセラミック状に焼き固められた円柱形に加工されており、 これを束ねると燃料集合体となる。 ペレット1個で一般家庭で使う電気の約6か月分が発電できる。 一つの原発には1000-2000万個のペレットが入る。
発電に使われる燃料は全体の3-5%。残り95-97%は再利用できるウランか プルトニウムとして残る。3-5%は高レベル放射性廃棄物となる。
軽水炉用の燃料は3〜4年使われ、最終的にはウラン235の濃度が1%程度に低下する。
使用済燃料はウラン、プルトニウムを分離し、高レベル放射性廃棄物を ガラス成分と混ぜてガラス固化体にする。 ウラン、プルトニウムはリサイクルされる。
普通の水素と酸素で構成された水のこと。 重水と区別するためにこの呼称が用いられる。
水素により中性子をはじきとばすが、水素には陽子が1個しかないため 中性子を吸収しやすい欠点があり、重水と比べると熱中性子変換能力に劣る。
LWR(Light Water Reactor). 冷却材、減速材に軽水を用いる原子炉。 核燃料には低濃縮ウランを使用する。 日本の原発のほとんどは軽水炉。
燃料棒の周囲は軽水で満たされており発熱により水蒸気となって炉外に送られ、 タービンを回す。 軽水はこれと同時に中性子の速度を遅らせるはたらきも持つ。 軽水は減速能力が低いため、燃料には濃縮された低濃縮ウランを必要とする。
原子炉がおさまっている容器。気密性が高く、 原子炉の放射性物質が漏れても外部に漏らさないようになっている。 BWRの場合、厚さ30mmの鋼鉄板でできている。 原子炉本体は格納容器のほぼ中央にあり、原子炉圧力容器におさまっている。
核分裂によって生じた中性子のエネルギーを低下させる。 軽水、空気、炭酸ガス、ヘリウム、液体ナトリウム等が用いられる。
核分裂で発生した高速中性子を次の核分裂に使って連鎖反応を維持する原子炉。
高速炉の一種でウランとプルトニウムを用いた原子炉。 元の核燃料を上回る量の新しい核燃料を運転しながら生み出すことができる。
減速材に黒鉛、冷却材に炭酸ガスを使っている原子炉。 イギリスのコルダーホール炉が有名。 原型はプルトニウム生産用の炉。
炭酸ガスで炉心から取り出した熱を蒸気発生器で軽水に伝えて タービンを回す。
燃料は天然ウランを使用可能だが、 改良型では効率を上げるため1.6%微濃縮ウランが使われる。
重水素と酸素で構成される水。 融点、沸点は軽水より高く、3.81度、101.43度。 沸点の違いを利用して普通の水から99.8%の純度の重水が製造されており、 製造に費用がかかる。
重水素は中性子をほとんど吸収しないではじきとばすことが可能で 中性子を熱中性子に変換する能力が高い。
減速材、冷却材に重水を使った炉。 軽水炉より中性子減速能力が高く、燃料に天然ウランを使用できる。 構造はPWRに似ており、一次側は重水、二次側は軽水が使われる。
PWRで使われる装置で一次ループの熱を二次ループに伝える。 高さ20m、直径4.5m程度で、太さ約2cmの伝熱細管が3000本以上収納されている。
原子炉の中性子を吸収して熱中性子が核燃料に衝突する割合を制御するもの。 中性子を吸収しやすい物質が使われ、 PWRではカドミウム合金、BWRでは炭化ホウ素、ハフニウムが用いられる。
PWRでは上から燃料集合体に向かって降ろされるが、 BWRでは上部のスペースが取りにくいため下から上に挿入される。
燃料棒を正方形に数十本たばねたもの。
ペレットをジルコニウム合金の管に密封したもの。 軽水炉用の燃料棒は長さ4mほどで、1本に300個以上のペレットが入っている。 やぶれることがないよう、高圧のヘリウムも一緒に封入される。 圧力は軽水と同等。 数十本たばねて燃料集合体として使われる。
二酸化ウランを小さな円柱形に加工して高温で焼き固めたもの。 燃料棒に使用される。
炉心から熱を取り出す材料。 軽水、重水、黒鉛、液体ナトリウム等。