神経 > 神経伝達物質
ニューロン同士が情報を伝え合う際に使われる物質。 ニューロンで生産され、シナプスで放出、 標的細胞に興奮または抑制の応答反応を起こさせる。
神経伝達物質にはホルモンとしてはたらくものも多い。
γ-アミノ酪酸。抑制系の神経伝達物質。
血液脳関門を通過できないため神経細胞内でグルタミン酸の脱炭酸によりつくられる。 脳内のバランスを保ち、神経の興奮、緊張、不安を鎮める役割をもつ。 抗不安薬、睡眠薬の多くはGABAのはたらきを促進する。
減少すると不安障害、睡眠障害、うつ病、統合失調症の原因となる。
acetylcholine. 最初に発見された神経伝達物質。 副交感神経、運動神経で信号を伝達する。 学習、記憶、覚醒、睡眠、休息、エネルギー備蓄に関係する。
コリンとアセチルCoAからつくられる。 コリンエステラーゼによりコリンと酢酸に分解される。
コリン作動性神経内に貯蔵される。
減少するとアルツハイマー型認知症の原因になると考えられている。 過剰になるとパーキンソン病の原因になると考えられている。
アセチルコリン受容体は2種類存在する。 神経節、神経-筋接合部、副交感神経節後線維-効果器接合部に存在。
煙草を吸うとニコチンがニコチン受容体に結合し、アセチルコリンと同じはたらきをする。 喫煙者はニコチンを摂取しないとアセチルコリン不足状態となり、禁断症状が出る。
C9H13NO3. エピネフリンとも。 カテコールアミンに属する。主に副腎髄質からホルモンとして分泌される。
神経伝達物質の性格ももつ。 チロシンが前駆体でドパミン、ノルアドレナリンを経て合成される。
アドレナリン受容体
交感神経節後線維-効果器接合部に存在する。α、βの2種類ある。
副腎髄質から分泌されるとホルモンとして血液中に入り、標的細胞膜のアドレナリン受容体に結合する。
アドレナリン作動性神経終末から神経伝達物質として遊離したものはシナプス間隙を拡散し、 シナプス後膜のアドレナリン受容体と結合する。
場所 | 作用 | |
α1 | シナプス後性受容体 | 血管平滑筋が収縮 |
α2 | アドレナリン作動性神経のシナプス前膜 | ノルアドレナリンの神経終末からの有利を阻止する |
β1 | 心筋、脂肪細胞膜 | 心機能、脂肪分解の促進 |
β2 | 肺、肝臓、平滑筋 | 平滑筋弛緩、グリコーゲンの分解 |
β3 | 心筋、脂肪細胞、血管平滑筋 | リパーゼの活性化による脂肪加水分解 |
医薬品としても使われる。 止血、喘息の発作をおさえるはたらきがある。
アドレナリンを参照。
神経伝達物質の一種。 視床下部の外側部で産生される。 摂食行動、睡眠、覚醒、報酬系の制御に重要な役割を果たす。
OX1受容体、OX2受容体の2種のGタンパク質共役受容体に結合する。
ナルコレプシーと深い関係があるとされる。
catecholamine. アミンの一種。 カテコール側鎖にアミノ基が結合した形の化合物。 ホルモン、神経伝達物質としてはたらく。
アミンの一種。動植物の生体内に分布。強塩基性。 原料はアミノ酸のセリンとメチオニン。 アセチルコリン、レシチンの構成成分。
コリンアセチルトランスフェラーゼ(CAT)により アセチルコリンに変換される。
約90%は消化管(腸粘膜のクロム親和性細胞)、約8%は血小板にある。 約2%は神経伝達物質としてはたらく。
消化管ホルモンとして腸の平滑筋を収縮させる。 脳幹(縫線核)、血小板からも分泌され、血圧調整、止血促進をおこなう。
アミノ酸のトリプトファンから生合成される。
(神経伝達物質として)
ノルアドレナリンやドパミンの活動を調節し、不安感をなくし、精神を安定させる。
不足すると精神的に不安定になるため、精神疾患の治療薬物として使われる。
濃度が高すぎるとセロトニン症候群になる。
睡眠と覚醒のリズムにも関連する。 また摂食を抑制し、血糖値を下げる。
疲労を誘発するといわれており、脳内に増えると集中力が低下するとされる。 BCAAはセロトニンの増加を抑える。
C8H11NO. チロシンが脱炭酸された化合物。 アドレナリンと類似の作用をもつ。 ある種の動物では神経伝達物質としての作用が推定されている。
アボガド、チーズ、醤油、牛レバー、サラミ、味噌、バナナ等に含まれる。
MAOにより不活化される。
一部の抗うつ剤、抵結核薬はチラミンの作用を増強するため、 これらを服用中に多量のチラミンを摂取すると血圧が高くなる場合がある。
プロラクチンの産生、分泌を抑制する視床下部ホルモン。 カテコールアミンに属する。 神経伝達物質としても機能、運動機能、快楽、意欲、動機づけ等の役割を果たす。 快楽物質とも呼ばれる。
チロシン、ドパを経て視床下部-下垂体系で生成される。 アドレナリン生成過程の中間体。
脳幹にある黒質(A9神経)と原側被蓋野(A10神経)がドパミンの神経系。 ここで神経伝達物質としてはたらく。
アドレナリンとノルアドレナリンはドパミンが変化して生成される。 覚せい剤はドパミンに構造が似ている。
ドパミンが不足するとパーキンソン病になる。
アメリカではノルエピネフリンと呼ばれる。カテコールアミンに属する。 神経伝達物質の性格ももつ。
フェニルアラニンからドパミンを経て生合成される。 アドレナリンの前駆物質でもある。 モノアミン酸化酵素により酸化され失活する。
アドレナリン作動性神経内に貯蔵される。
恐怖、怒り、不安、注意、集中、覚醒、鎮痛等に関係する。
脳幹の青班核(A6神経)等から放出されるほか交感神経でも生成される。 副腎髄質ではホルモンとして分泌される。
ノルアドレナリンが過剰になるとパニック発作等が起きる。 継続的な減少が続くとうつ病、不安障害、自律神経失調症等になる。
アドレナリンと作用はほぼ同じ。
ノルアドレナリンを参照。
睡眠等の生体リズムに関連する物質。睡眠ホルモンとも呼ばれる。 脳幹にある松果体から分泌される。
トリプトファンからセロトニンを経て合成される。
剛性にはマグネシウムが必要。
ヒトでは昼間は分泌が少なく夜になると増える。 睡眠促進作用があると考えられている。
アミンのうち、アミノ基を1個だけ含むもの。