神経系作用薬 > 麻酔
神経細胞の活動電位を抑制させ興奮の伝導を遮断する行為。 麻薬も使われる。
全身麻酔の段階
最小肺胞濃度。 切開等の痛み刺激を加えても50%の動物が逃避反応をおこさない吸入麻酔薬の濃度。
%単位であらわす。値が小さいほど強力。 手術には1.5-2.5MACの濃度で使用する。
リドカインを参照。
感覚神経系に作用する麻酔薬。 神経細胞の活動電位発生を抑制し興奮の伝導を遮断する。
細胞内に入り込み、内部からナトリウムチャンネルを遮断する。 表面積が大きい、細い神経繊維ほど大きく影響を受ける。
構造 | 持続時間 | |
コカイン | エステル型 | 中等度 |
プロカイン(オムニカイン) | エステル型 | 短い |
リドカイン(キシロカイン) | アミド型 | 中等度 |
テトラカイン(テトカイン) | エステル型 | 中等度 |
ブピバカイン(マーカイン) | アミド型 | 中等度 |
コカインは毒性があるため現在は使用されていない。
歯科用
注射用 |
リドカイン |
プロピトカイン |
メピバカイン |
表面麻酔用 |
ベンゾカイン(アミノ安息香酸エチル) |
テトラカイン |
世界ではアルチカインがよく使われるが、日本では認可がおりていない(2018)。
CHCl3。トリクロロメタン。 かつての吸入麻酔薬の一つ。無色透明の液体、揮発性が強く、甘い臭いがある。 肝臓に対して毒性があるため現在は麻酔には使われない。
メタンを塩素ガスで塩素化してつくる。
溶媒、フッ素樹脂の原料にも使われる。
コカノキの葉から単離されるアルカロイド。 局所麻酔薬として使われていた。 コカ・コーラには1903年までコカインが含まれていた。
副交感神経の遮断作用をもち、薬物としてはアッパー系の作用がある。 服用すると強烈な興奮状態になる。薬物が切れると深いうつ状態になる。 作用時間は15〜30分。
コカインの化学構造を参考にして下記の局所麻酔薬が作られている。 語尾が〜カインになっているのはコカインに由来するため。
自然に近い睡眠を誘発する薬物。
ベンゾジアゼピン系 | 向精神薬として規制がある |
バルビツール酸系 | 向精神薬として規制がある |
非バルビツール酸系 |
非バルビツール酸系
ブロムワレニル尿素(ブロバリン) |
抱水クロラール(エスクレ) |
ウレタン |
臭化カリウム |
N2O、亜酸化窒素。全身麻酔薬の一つ。 導入が速いが麻酔作用は弱いため、酸素や他の薬と併用される。
1810〜1845年には笑気を利用した笑気遊びが流行した。 麻酔作用が発見されたのは1845年だが、認知はされなかった。 温室効果ガスとしての側面がある。
伝達麻酔。 末梢神経、神経叢等に局所麻酔薬を注射し、その部分より末梢の神経を麻痺させる手法。 手術、激痛の鎮痛を目的に行われる。
全身麻酔に用いる薬物。
麻酔前与薬 |
吸入麻酔薬 |
静脈内麻酔薬 |
神経遮断鎮痛薬(NLA) |
麻酔前与薬
麻酔実施の前に用いる。
鎮痛薬 | モルヒネ、ペンタゾシン |
抗コリン薬 | アトロピン、スコポラミン |
抗不安薬 | ジアゼパム |
吸入麻酔薬
肺から吸入させ中枢に作用させる。
亜酸化窒素(笑気) |
ハロタン(フローセン) |
エンフルラン(エトレン) |
イソフルラン(フォーレン) |
セボフルラン(セボフレン) |
エーテル |
静脈内麻酔薬
吸入麻酔薬の導入時や短時間麻酔に用いる。
バルビツール酸系 |
ケタミン(ケタラール) |
プロポフォール(ディプリバン) |
神経遮断鎮痛薬(NLA)
全身麻酔薬の導入及び維持に用いられる。
タラモナール | 精神安定剤ドロペリドールと麻酔性鎮痛薬フェンタニルの合剤 |
チオペンタールナトリウム。バルビツール酸系催眠薬。 鎮痛作用はない。
静脈注射によりただちに効果が現れるが、作用時間は短い。 呼吸、循環器抑制作用があるため、人工呼吸器が必要。
バルビツール酸系の長時間作用型の睡眠鎮静薬。 依存性がある。長期間使用すると耐性を生じる。
現在はほとんど使われていない。
フェノバルビタールはエチル基をフェニル基に置き換えたもの。
催眠薬の一種。 脳の覚醒を抑え、不安や緊張を鎮める。 向精神薬指定。
静脈麻酔薬、鎮静薬、睡眠薬、抗てんかん薬に使われる。
依存や耐性が生じやすい。呼吸麻痺等を起こすことがある。 このため慢性的な投与には使われない。
作用時間 | 臨床応用 | |
チオペンタール(ラボナール) | 15〜30分 | 静脈内麻酔 |
チアミラール(イソゾール) | 15〜30分 | 静脈内麻酔 |
ヘキソバルビタール(チクロパン) | 1〜3時間 | 入眠障害 |
ペンドハルビタール(ネンブタール) | 1〜3時間 | 入眠障害 |
セコバルビタール(アイオナール) | 1〜3時間 | 入眠障害 |
アモバルビタール(イソミタール) | 3〜6時間 | 熟眠障害 |
フェノバルビタール(フェノバール) | 6時間以上 | 熟眠障害、抗けいれん |
局所麻酔薬。毒性の強いコカインの代替として1905年に開発、合成。 局所麻酔作用はコカインより弱い。表面麻酔には適さない。 血管収縮作用がなく局所にとどまりにくいため、エピネフリンを併用することが多い。
全身麻酔薬の一種。 全身麻酔、集中治療時の人工呼吸中の沈静に使われる。 投与法は静脈注射。 導入と覚醒が早い。投与量調節のみで深度調節が可能。
催眠薬、抗不安薬に使われる。 向精神薬に指定。 GABA A受容体の機能を亢進させ、GABAのはたらきを活発にする。
シナプス後膜にはGABA A受容体とベンゾジアゼピン受容体がある。 ここに薬が結合するとGABA A受容体の機能が亢進する。
ベンゾジアゼピン受容体は大脳皮質辺縁系、間脳に多く分布する。
安全域が広く薬物依存性が少ない。 催眠作用の他に抗不安作用、抗けいれん作用、筋弛緩作用がある。 副作用に運動失調がある
ゾルピデム (マイスリー) | 超短時間型 | 2 |
トリアゾラム(ハルシオン) | 超短時間型 | 2-3時間 |
ブロチゾラム(レンドルミン) | 短時間型 | 3-6時間 |
ニトラゼパム(ベンザリン) | 中間型 | 18-38時間 |
エスタゾラム(ユーロジン) | 中間型 | 18-31時間 |
フルニトラゼパム(サイレース) | 中間型 | 7-30時間 |
フルラゼパム(ダルメート) | 長時間型 | 47-100時間 |
作用が速く、持続時間も長い。表面麻酔作用も強い。 各科で広範囲に使用される。
全身的な投与では抗不整脈作用を示す。