有機化合物 > 芳香族化合物
主にベンゼン環を含む化合物の総称。 発見当初は芳香性をもつ化合物が多かったためこの名がついたが、必ず芳香性があるわけではない。 一部ベンゼン環を含まないものもある(非ベンゼン系)。
芳香族カルボン酸
C6H5NH2. アミノベンゼンとも。 無色の油状液体。特有の臭いがある。有毒。 空気、光に触れると褐色になる。
合成染料(藍色)、有機化合物の原料として使われる。
C14H10.青色の蛍光を持つ無色針状結晶。コールタールから発見された。 水に溶けないが有機溶媒には溶ける。紫外線を受けるとジアントラセンとなる。
C6H4(CH3)2. キシロール、ジメチルベンゼン、ザイレンとも。
芳香族炭化水素の一つ。 ベンゼンの水素2つをメチル基で置き換えたもの。 オルト(o)、メタ(m)、パラ(p)の異性体がある。
無色透明の油状液体、有毒。 石油の改質油から抽出される。
フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸の原料。
CH6C6H4OH. メチルフェノールとも。 三つの異性体があり、通常は三つの混合物をさす。
無色、黄色、黄褐色の澄明な液体。 3種の異性体がある。
石油のクラッキングで得られる。 コールタール低温乾留の際の200-220度留分中に含まれる。
消毒剤、防腐剤、合成樹脂原料に用いられる。
C6H5Cl. ベンゼンの水素1原子を塩素原子で置き換えた化合物。 液体。有機溶媒に可溶。
アニリン、フェノール等の合成原料となる。 染料中間体の原料としても使用される。
C6H5CH3。 常温では液体。ベンゼン環にメチル基-CH3が1個ついたもの。 有機溶剤として使われる。 側鎖があるためベンゼンより毒性が低く1割ほどとされる。
C10H8。ベンゼン環を2つもつ化合物。 うろこ状の結晶で特有の臭気をもつ。 コールタールより分離精製される。
染料に用いられる。昇華性が高いため防虫剤にも用いられる。 酸化するとフタル酸になる。
一置換体は2種類の異性体がある。
C6H5NO2. ニトロベンゾール。 淡黄色または暗黄色、芳香ある液体。 ベンゼン環にニトロ基が一つ入ったもの。爆発性はない。
C12H10. ジフェニルとも。 二つのフェニル基が直接に炭素-炭素結合したもの。
2個のベンゼン環は結晶中では同一平面上にある。 液相および気相では互いに約45度ねじれている。
芳香をもつ無色の結晶。
コールタール中に少量含まれる。 ヨードベンゼンと銅粉の加熱により得られる。。
伝熱媒体、染料、医薬品に用いられる。
C6H6。 ベンゾールとも。無色透明で特臭ある液体。
1825年にM.ファラデーが石炭ガス中から発見。 現在は石油から生産される。
水には溶けないが多くの有機溶剤によく溶け、また多くの有機物をよく溶かす。 揮発性で毒性が強く、蒸気を吸入すると中毒症状が出る。
二置換体には3種の異性体がある。
多くの有機薬品の合成原料。 ベンゼン環をもつ化合物は芳香族化合物と呼ばれる。 ベンゼン環は芳香族炭化水素の基本骨格。
ベンゼン核、6個の炭素原子でできている六角形の環。 発見者はドイツの化学者ケクレ。
構造式では単結合と二重結合が交互に書かれるが、実際は全てが同等の結合で 単結合と二重結合の中間の結合をしている。
不飽和結合をもつが非常に安定しており、ベンゼン環自体は変化しにくい。 このため付加反応は起こりにくく、置換反応が起こりやすい。 またベンゼン環は安定だが側鎖は反応性が高い。
炭素原子の4つの価電子のうち3つは共有結合に使われる。 もう1つは第4の価電子どうしで両側に同等の共有結合をつくる。 これにより単結合と二重結合の中間結合がつくられる。 この価電子はベンゼン環内を自由に動き回ることができる。
C20H12.ベンツピレンとも。
芳香族炭化水素の一つ。ベンゼン環が5個つながった構造。 水には溶けない。2種の異性体がある。
淡黄色の結晶。
コールタールに含まれる。
強力な発がん物質。ベンゾピレンは発がん性がないが、 酸化して9,10-エポキシドになると発がん性を有するようになる。
ベンゼン環をもつ炭化水素。 芳香をもつものが多いためこの名があった。 現在はベンゼン環にみられる安定な性質のことを芳香族性と表現する。 分子中の炭素の含有率が大きいため空気中では不完全燃焼して多量のすすを出す。
クレゾールを参照。